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【小説】「阪急電車」関西圏の人ならこのローカル具合はたまらない!?交差する物語にほっこりするの間違いなし!

阪急電車

幻冬舎

著者 有川浩

幻冬舎文庫

2010年8月5日 初版発行

2011年4月30日 18版発行

 

阪急電車】とは、関西圏の大きな私鉄で、特に宝塚駅と言ったら梅田へ向かう宝塚線今津線が合流しさらにJR宝塚線にも乗り換えができるやや大きなジャンクション。そしてこの物語は、そんな阪急電車各線の中でも知名度が低いであろう今津線を舞台に乗り合わせた人々の様々な人間模様、奇跡や葛藤、ほっこり胸キュンの傑作長編小説です。

 

 

あらすじ

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人…。乗り合わせただけの乗客たちの人生が少しづつ交差し、人数分のドラマを乗せた阪急電車。恋の始まり、別れの兆し、途中下車…

そんな日常のちょっとほっこりする人間模様を阪急電車を舞台に紡ぎ出される物語。

 

感想

目次が駅名になっている。どんな流れで展開されるのか、と読み進めると物語が交差しあの人がここに、この時のあの人が…と巡り巡って展開される乗客の物語に驚かされました。一つ一つの章でほっこりし、納得し、スッキリし、いろんな人間模様がスッと心に染みこんでくるような物語。特に好きなシーンは、乗り込んできた女子高生たちの話に聞き耳を立ててしまうという場面で、話の中心にいるのは社会人の彼氏がいる「えっちゃん」その話術がすばらしく面白いので、つい吹き出してしまいそうになるほど。日常の一コマを面白おかしく喋り友人を引き込むえっちゃんもまた、大学受験を控え様々な思いを抱えていたという物語もあり、ここまで拾い上げて人間模様が描かれているのはもはやトリックの一種と思えてしまいます。電車を舞台として乗り込んでくる人一人一人の登場人物にドラマがあり、交差する思いや背景に胸が躍り読み進めてしまいます。電車に乗ったらついドラマを描いてしまいそうな気分になりました。

 

おわりに

関西圏在住でもないし、普段電車は使わない、そんな人でももちろん楽しめる作品です。自分がもしこんな風に物語の一員になったら…乗り合わせたあの人にもどドラマがあるのかも…なんて。著者の有川浩さんは舞台となった今津線沿線にお住まいだったとのことです普段利用する交通手段であったのでしょうか。そんな日常の中でこんなドラマを描いてしまう素晴らしい感受性の持ち主だと思いました。笑いあり涙あり、電車線路のように交差したり並行したり、そんなすごく特別じゃないのにドラマティックな物語、ぜひご乗車下さい!



 

著者 有川浩さんの本はコチラもおすすめ!

実写化でも話題になった「植物図鑑」ひょんなことから拾ってしまった男性との不思議な同棲生活。一緒に過ごすうちに惹かれ合う二人だが、彼には秘密があって…。

 



 

 

【小説】「そして、バトンは渡された」大絶賛の本屋大賞受賞作を大絶賛したい!

「そして、バトンは渡された」

文藝春秋

著者 瀬尾まいこ

文藝春秋 発行

2020年9月10日 第1刷

 

この物語は、不幸な物語ではありません。親から親へと大人の都合でリレーされ、その度に別れを繰り返し苗字が替わり、それでも愛情を受け真っすぐに育った少女は最後の親である父親と二人暮らし。悲しいことが無かったわけではないが決して不幸でもなかった優子と、親たちの絆の物語です。

 

 

 

あらすじ

幼い頃に母親を亡くし、実の父とも海外赴任を機に別れ、継母と暮らすことになった優子は、その後も大人の都合で転々と住む場所を変え親が替わり、高校生となった今は血の繋がらない20歳しか年の離れない父と暮らしている。実の父との別れ、血の繋がりはなくとも愛情を一心に注ぎ育ててくれた継母。その再婚相手となった新しい父との不器用な距離の絆。そして、高校生となった優子を受け入れ精一杯向き合ってくれた”最後の父親”。それぞれの親と暮らした日々は優子にとって辛いものではなく、確かな愛情を感じられる日々。そして多感な高校生と向き合い育ててくれた父森宮さんとの日々は優子にとって確かな帰る場所となっていき…。


 

感想

母の死や実父との別れ、親と親との間をリレーされ、住む場所も苗字も変わり、それでもこの主人公は真っすぐに育っていました。聞いただけで同情してしまいそうな生い立ちにもその時その時にたくさんの愛と決断があり、冷静に受け入れてきた優子の強さを感じました。女子高生ならではの戸惑いや悩みがありながらも強く前を向いていく姿には感心させられ、それを支えている森宮さんとの生活が素敵で、愛情や絆が絶えずあったからこそ不幸ではなかったのだと思います。もちろん実の母の死は記憶にはなくとも心の傷になっているし、実父との別れは子供には耐えがたい寂しさがあったのだと思いますが、それ以上に周りの人々の愛情が優子の支えとなり強さと明るさ、冷静さに繋がりました。親になる事は、難しいと感じる事が多いと思います。もちろん楽しさや幸せが勝るもので、子供の笑顔は何よりの幸せ。それは血の繋がりがなくても形が違っても、そこに確かに存在する愛情で築き上げられるのだと教えられました。二番目の母である梨花さんは母親になった事を「私、すごくラッキーなんだよね。」と言いました。すごく楽しいし、お得!と。そして、高校生になってからの父親森宮さんも梨花と同じように親になった事を喜んでくれていた。そして責任を持って決断したこの生活を手放したくないと言ったところにグッときました。優子もまたそんな森宮さんとの絆を確かに感じ、「この暮らしをこの家を、私はどうしたって守りたい。」と思うのでした。こんなに真っすぐに愛情を示してくれる”親たち”に守られ、時に振り回され、家族の形が何度も変わっても、注がれた愛情に答え幸せになる姿と父の愛に感動で胸がいっぱいになる作品でした。

 

 

おわりに

この作品について、全くの先入観ゼロで読み始めたわけですが、初めから凄い勢いで引き込まれました。文章がとにかく上手で(作家さんに対してこんな語彙力ない褒め方は適切では無いのですが…)本当に引き込まれる展開と、セリフ、感情の描き方。瀬尾まいこさんという作家さんは本当に素晴らしいと感じました。物語で、過去の事を書いて行ったり来たりする混乱しがちな流れでも、しっかり心情と状況が伝わり優子への理解も深まりどんどんハマっていきます。素晴らしい作品に出会えて、周りにも伝え広げて行きたいと思わされました。そして、同名の実写映画も気になるところ…実はまだ観られていません。またそちらの感想も順次追加して行きます。

「そして、バトンは渡された」ぜひ読んでみて下さい!

「君の瞳が問いかけている」ノベライズ 沢木まひろが描く 涙で溺れるほどの純愛!映画キャストも最高すぎる!

「君の瞳が問いかけている」

ノベライズ本

著者 沢木まひろ

脚本 登米祐一

宝島社文庫

2020年9月18日 第1刷発行

 

映画

2020年10月23日roadshow

監督 三木孝浩

主題歌 BTS「Your eyes tell」

吉高由里子横浜流星 W主演

「君の瞳が問いかけている」Netflixで見放題!



映画『きみの瞳が問いかけている』公式サイト

 

この作品、告知やらCMで映画上映の話は耳にしていた。横浜流星さんがなんかキックボクシングとかやって、吉高由里子さんが目が見えないヒロインで…と、そんな前情報のみ。他のキャストやあらすじも知らない、そんな状態で、このタイトルを見てそんな映画あったなと思い出したので読んでみようと手に取りました。映画のノベライズ。どうせ美人とイケメンの王道のラブストーリーでしょ、なんてちょっと斜に構えていました。しかし…もうこれはお気に入りの何度も読み返す文庫本のレパートリーに仲間入り。丁寧にブックカバーを掛けたいと思います。(w

もう有名すぎて、説明もいらないほどではないかと思われますが、ここまでも同じように作品を紹介してきましたのでさせて下さい。

 

 

あらすじ

不慮の事故で、両目の視力と両親を失うも明るく前向きな明香里と、罪を犯しキックボクサーとしての夢を絶たれた塁。二人は惹かれあい幸せな日々を過ごすが、明香里の過去の事故について、塁だけが気付いた残酷な因果…。逃れられない過去と、闇の力で引き裂かれる二人が行きつくのはどんな未来か。

 

映画キャスト

柏木明香里…吉高由里子

篠崎塁…横浜流星

原田陣…やべきょうすけ

佐久間恭介…町田啓太

大浦美恵子(シスター)…風吹ジュン

 

 

ノベライズ本 感想

巻頭にカラー写真ページがあります。映画のワンシーン。それはどれも綺麗で、切なくて。塁と明香里、二人の視点で語られるそれぞれの気持ち。初めの出会いは明香里の目が見えないことで起こる偶然でした。明香里は塁の事を「おじさん」と呼び、苦労をしてきた四、五十のバツイチだと思い込んでいます。それを否定せず、塁の仕事場であるビルの管理人室に毎週ドラマを見に寄る明香里を待っているのでした。二人は徐々に距離を縮めていき、あるトラブルをきっかけに互いに大切な存在であると気づきます。不器用な塁、真っすぐな明香里、二人の温かな時間は読み進めるに従ってほっこりさせてくれる時間でした。この温かな時間が奪われていく様はまさに真っ暗な闇へ進んでいくようでハラハラさせられました。一緒に過ごした時間が輝いていたからこそ、その先に待ち受ける困難がこんなにも暗く重く辛くなっていくのだと感じさせました。何より明香里を想って下した塁の決断に胸が苦しくてたまりません。衝撃の過去や自分の罪を一人で背負い愛する人に光を与えた塁はとても強く優しく、切なく。そして、どんな状況にも強く明るく進んでいく明香里を素敵だと思います。こんな二人が幸せになれない未来なんてあってはならないと思うのです。未来を語る塁、明香里それぞれの想いが交わる事を願ってやまない、そんな作品でした。

【映画ノベライズ】きみの瞳が問いかけている (宝島社文庫) [ 沢木 まひろ ]

映画 感想

まずキャストが素晴らしい。映画を観る前(キャストも知らない状態)に本を読んでいたのでイメージは主演のお二人のみでしたが、絶対「陣さん」はやべきょうすけさんしかいないと感じていたらまさに!(w そして町田啓太さんが恭介役というのも!ピッタリ。何より、吉高由里子さんが綺麗で、横浜流星さんはカッコいい。なんというキャストでしょう。キャストもさることながら、物語が本当に切なく怖く、美しく…

管理人室で椅子を並べて二人でドラマを鑑賞する場面での、明香里が塁をおじさんと決めつけるところでの塁の驚いた顔が何とも言えない可愛らしい表情で、そうかと思えばキックボクシングの試合で見せる目つきの鋭さや陰のある表情には圧倒され、横浜流星ファンにはたまらない映像ではないでしょうか。無邪気な笑顔を見せる明香里にドキドキさせられ、「生きていくためなの…」という言葉に胸が詰まり、二人の幸せな時間がいつまでも続いて欲しいと思わされるシーンの数々は心に残ります。映画では二人がどう思っているのか、表情のみで捉える事になりますので、ノベライズで楽しめるのは理解が深まるのでおススメ。不器用な塁、無邪気だけどしっかりした明香里、ぜひ二人の幸せを願いましょう!

そして監督は、『アオハライド』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』などを手掛けた三木孝浩監督、主題歌BTS「Your eyes tell」という豪華さ。大人の純愛ストーリーで温まりました。

 


 

映画『きみの瞳が問いかけている』 公式サイト

【公式】本予告

 

主題歌「Your eyes tell」特別映像

【映画】「余命10年」原作との違いは?豪華キャストで泣かせる!映画レビュー

【映画】「余命10年」

映画『余命10年』公式



 

あらすじ

数万人に一人という不治の病で余命が10年であることを知った二十歳の茉莉。彼女は生きることに執着しないよう、恋だけはしないと心に決めて生きていた。 そんなとき、同窓会で再会したのは、かつて同級生だった和人。 別々の人生を歩んでいた二人は、この出会いをきっかけに急接近することに——。 もう会ってはいけないと思いながら、自らが病に侵されていることを隠して、どこにでもいる男女のように和人と楽しい時を重ねてしまう茉莉。 ——「これ以上カズくんといたら、死ぬのが怖くなる」。 思い出の数が増えるたびに失われていく残された時間。二人が最後に選んだ道とは……?

 

キャスト

高林茉莉…小松奈々

真部和人…坂口健太郎

藤崎沙苗…奈緒

富田タケル…山田裕貴

高林桔梗…黒木華

高林百合子…原日出子

高林明久…松重豊

梶原玄…リリー・フランキー

 

wwws.warnerbros.co.jp

原作小説との違いは?

『余命10年』は、著者小坂流加さんによる小説を元に映像化された作品です。原作『余命10年』から映画化されるにあたり、設定が変わっているところがありました。両方の良いところがそれぞれにあるものとして楽しめるので、違いも含め理解を深めていけたらと思います。では、原作と映画の違う点を見ていきましょう。

茉莉の好きな事

原作→絵を描く事が得意で、漫画を描きたいと思っている。アニメも大好きで友達と参加したコスプレイベントをきっかけにコスプレや衣装づくりに没頭する。

映画→小説を書く事が評価されていた。WEBライターとして仕事をしつつ、晩年の自伝小説を書き上げた。

和人の家庭環境

原作→真部和人は由緒ある茶道の家元の跡継ぎ。その重圧に耐えきれず心に傷を負っていた。父親は厳格な人で、頭が上がらない。

映画→父親が大きな会社の社長。将来は後を継ぐはずだった。家族とは疎遠で、和人が飛び降りた後、病院にも来なかったほど。

和人の人柄

原作→頭が良く、お調子者でさりげない優しさで茉莉の心をほぐしていく。見た目は大学生のようなラフな格好が多く、多趣味でスポーツが得意な男らしい印象。

映画→仕事を辞め、自分だけが成長できていないと絶望し自殺未遂を図る。タケルに勧められ居酒屋でバイトを始め夢を持つ。子犬のようだと言われるところは原作と同じ。

告白のシチュエーション

原作→二人でスノボに出かけた帰りに、通行止めで帰れなくなった車内で。

映画→茉莉がやけ酒し絶望のなか帰る駅の近く。

和人の将来

原作→茶道の家元の跡を継ぐため家に戻る。

映画→自分の店(居酒屋)を持つ。

 

他にも細かい設定やシチュエーション、映画では描き切れなかったであろうストーリーも小説では楽しめます。しかし映画では、著者小坂流加さんへのリスペクトを感じる「小説を書く茉莉」を描いています。その刊行を待つことなくこの世を去ってしまう茉莉。同じように小坂さんもこの「余命10年」を書きあげ、ご逝去されました。小坂さんは、物語で描かれた不治の病を患っていたのです。実話ではありませんが、自身の病と向き合われた上のリアルな描写が読む人の心に刺さる作品であったと思います。

 

 

感想

余命10年という難しい役どころをその演技力と儚げな透明感で演じ切り涙を誘った小松奈々さん。原作をそのまま映像化したかのようなイメージにピッタリの配役。実写映画には小松奈々と言わんばかりにどの役もピッタリとはめ込まれるのはさすがです。夜の桜並木をバックに綺麗な横顔がとても美しく、スローモーションで表現される時間の流れを見事に際立てていました。そして、残された時間が少なくなるにつれ、病に侵された表情に息を飲みます。W主演として、坂口健太郎さんが茉莉と恋に落ちる同級生を演じられました。茉莉と再会してから距離が縮まる度に成長してゆく姿に、対比した茉莉の思いとの違いが切なく表現され、泣き崩れる姿は心が痛くなります。切ない二人のストーリーが映像で美しく描かれた作品です。そして、脇を固める俳優陣も豪華なキャストで、茉莉の母に原日出子さん、父を松重豊さん。原日出子さんは、言わずもがなお母さん役としてこの上なく素晴らしく、誰もが思い描くお母さん像ではないでしょうか。包み込むような優しさ、言葉にしなくとも伝わる愛情がひしひしと伝わります。お父さん役の松重豊さんもまた、口数の少ないけれど心配性なお父さんは、誰もがイメージできるお父さん像を見事に演じられています。そして、姉・桔梗を黒木華さんが。この黒木さんがとても素晴らしかったのが一番の印象でした。病気の妹を心配するも、取り乱したりぜず、何より妹の事、両親の事を想う優しく凛とした女性です。しかしそんな桔梗が耐え切れず飛び出し泣いている姿には、苦しくなります。ふとした表情、言葉がこんなにも自然で、引き込まれる俳優さんだったのかと驚きました。原作同様”泣ける”映画となっていましたが、中でも茉莉が初めて家族に弱音を吐いて涙するシーンでは涙が止まりませんでした。作品を通してとても美しい作品だったと思うのですが、人間らしさや怒りや悲しみなどの喜怒哀楽をストレートに表現されているのがとても印象的です。あえてナレーションを入れないところや、四季を追って月日の流れを表現しているのもまた、かけがえのない一度きりの人生を精一杯生きた女性の儚さを表現していたと思います。和人の成長、茉莉の想い、家族の辛さ、考えさせられる作品で原作とはまた少し違った見方もできて倍楽しめます。ぜひ、原作と合わせて楽しんでみて下さい。

Amazon primevideo、ABEMA、U-NEXT 他デジタル配信でも観られます!

 

原作レビューはコチラ♪

hayms.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人は話し方が9割」で学ぶ ちょっとしたコミュ障を改善したい!

「人は話し方が9割」

 

株式会社すばる舎



 

著者  永松茂久

株式会社すばる舎 

2021年12月28日 初版発行

 

話すのが苦手…軽〜くコミュ障でもなんとかやってこれたけど。どうしても初対面の人との会話が難しい…緊張し過ぎて変な話題をぶっ込んでしまって後から後悔するのは日常茶飯事です。さらに慣れているはずの人との会話ですら、たどたどしく、どもってしまう事も。いい大人がこんなんじゃ恥ずかしい!?そんな思いで手に取った本書。さて、どんな話し方のコツが書かれているのでしょう。

 

 

 

どんな本?

話し方をちょっと変えるだけで、仕事もプライベートも大きく好転します♪

この本では、芸人さんやアナウンサーのように流暢に話せる人や、会社のプレゼンでうまく話せるようになるといったものではなく、もっと日常的な人間関係における会話力について書かれています。セクションごとに”100%好かれる話し方のコツ”を紹介してくれていて、内容もイラストでまとめたものが載っているのでどんな人にも理解できる内容となっています。また著者の体験による具体的なエピソードなどを交えてイメージしやすくなっているのも特徴。納得して読んでいけるのでスッと心に響きます。

 

 

感想

まず、話し方についての本で何を教えてくれるのだろう?と思っていましたが、なるほどと思う事がたくさんあり、感心しました。ほんのわずかな事を意識するだけで、会話が弾むという事を学ばせて頂きました。特に、相手が話していても主導権はこちらにある、という言葉にハッとしました。これは、誰もが自分のことを話したいと思う一面から、我が我がとなるところを、聞き上手に徹し相手から会話をどんどん引き出しまた話したいと思ってもらう事で話し上手な人になるという事です。一方的に喋りまくって引かれてしまってはもったいない。しかし、なにも話さないのは気まずい。それなら相手に気持ちよくしゃべって貰って、会話を弾ませるのです。そこで自分が会話を引き出して主導していると思えれば、我が我がとならずに済みます。この本で学んだことは本当にたくさんありました。著者の具体的な例でわかりやすく解説されているので、難しいことはありません。すべてのことに納得ができるのですぐに実践したくなります。「拡張話法」という手法も紹介されています。これは、相手の話をうまく引き出す事を目的としていて、拡張話法には順番があるのです。

感嘆→反復→共感→称賛→質問

そして、感嘆の時の語尾には絵文字を付けるような気持ちで思いを込めるとうまく伝わると書かれています。共感こそが相手の一番求めていることなので、そこから会話を広げていけると良い会話ができるとの事でした。さらに、人は「笑わせてくれる人」より、「一緒に笑ってくれる人」が好き。という言葉もしっくり来ました。一緒に笑ってくれる人は心地よいですよね。なるほどと思う事がたくさんなので、ぜひ読んでみて欲しいと思います。

 

 

著者について

永松茂久(ながまつ しげひさ)

株式会社人材育成JAPAN代表取締役大分県中津市生まれ。2001年にわずか3坪のたこ焼きの行商から事業をスタートさせ、2003年に開店した”ダイニング陽なた家”は口コミだけで県外からも1万人来店する大人気店に。現在は、執筆だけでなく、次世代育成、出版コンサルティング、イベント主催、映像編集、ブランディングプロデュースなど様々な事業を展開する実業家。

www.nagamatsushigehisa.com

おわりに

話し方や会話力について何かしら悩みを抱えている人は少なくないと思います。人前で話をするのは苦手だという人や、つい失言して相手を怒らせてしまった経験のある人、沈黙が苦手でペラペラと一方的に話し続けてしまう人も、”会話”という日常生活に欠かせないコミュニケーションが上手くいかないことは、様々な事で影響が出てしまいます。私が一番会話で困ってしまうのは、質問されたことに上手く答えられず思考が一時停止してしまう事。自分の考えがまとまらない事が問題だと感じています。それでも、上手く話そうとしなくても良い、「じっくり言葉を選びながら、自分のペースで話す」という言葉で少し救われました。気持ちを込めて話すことの方が相手には伝わるという事がこの悩みを改善するポイントだと思ったのです。他にも様々な使えるコツが書いてあり、読み返し、実践しちょっとしたコミュ障も改善していけたらな、と思います!

お悩みの方はぜひ一度読んでみて下さい。

 

 

人は話し方が9割 [ 永松茂久 ]

 

 

感動の物語で温まりませんか?「コーヒーが冷めないうちに」シリーズ5冊を紹介!

忙しい毎日に追われ、心揺さぶられる感動もどこかに忘れてきてしまってはいませんか?そんな頑張っている皆さんに読んで欲しい感動の物語をご紹介したいと思います!実写映画化で一躍有名になり、日本アカデミー賞で話題賞を獲得した作品の原作となった「コーヒーが冷めないうちに」。作品名を聞いたことはあるけど内容まではわからない、実写映画は観たけど原作はまだ…小説も読んだけど感想を共有したい、そんな人たちに読んでいただきたいまとめ記事になります!実は、この「コーヒーが冷めないうちに」はシリーズ作品となっていて、映画化されたのは1作目と2作目を少し掛け合わせ内容をオリジナルに書き上げられた作品となっています。著者川口俊和さんのデビュー作となった小説で、シリーズ累計370万部を突破した人気作品となっています。世界中で翻訳されベストセラーとなり、世界のメディアでも多く取り上げられていました。さらに2023年待望の新作が発売となりました。コーヒーが冷めないうちにシリーズファンにはたまらない続編に期待値は爆上がりです。感動の物語で心を潤してみませんか?

 

シリーズ紹介

とある街の、とある喫茶店の、とある座席には不思議な都市伝説があった。その席に座るとその席に座っている間だけ望んだ通りの「時間」に移動ができるという
 
ただし、そこにはめんどくさい……非常にめんどくさいルールがあった
 
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者には会うことができない
2.過去に戻ってどんな努力をしても現実は変わらない
3.その席には常に白いワンピースを着た女が座っている
4.その席に座れるのはその女が席を立った時だけ
5.過去に戻っても、席を立って移動はできない制限時間はカップにコーヒーを注いでから、そのコーヒーが冷めるまでの間だけ
 

茶店の名前は、フニクリフニクラ
 
あなたなら、これだけのルールを聞かされてそれでも過去に戻りたいと思いますか?

 

 

コーヒーが冷めないうちに」のシリーズ作品は現在(2024年)5冊の作品が出版されています。第一作となる「コーヒーが冷めないうちに」は2015年に初版発行され話題となりました。斬新な設定やゆったりと流れる時間を楽しめるような文章に心温まる物語、忙しい現代人が忘れがちな思いを改めて感じさせてくれるような胸に刺さる作品です。そして、生きる事、幸せになる事、愛や友情を考えさせられます。難しい内容は無く、幅広い年代の人に刺さる物語の数々で、人に薦めたい書籍No.1となるはず。

 

読む順番は?

以下に紹介しているのが発行順に並んでいるので、ぜひこの順番で読んでいただきたいと思います。二作目「この噓がばれないうちに」は一作目から7年後のお話ですが、第四作目「さよならも言えないうちに」はその間(一作目の翌年)の出来事になっています。

第一作・『コーヒーがさめないうちに』2015年初版発行

第二作・『この噓がばれないうちに」2017年初版発行

第三作・『思い出が消えないうちに』2018年初版発行

第四作・『さよならも言えないうちに』2021年初版発行

第五作・『やさしさを忘れぬうちに』2023年初版発行

 

 

作品紹介

 

1.『コーヒーがさめないうちに』2015年初版発行

サンマーク出版



 

hayms.hatenablog.com

 

2.『この噓がばれないうちに」2017年初版発行

サンマーク出版



 

 

hayms.hatenablog.com

 

3.『思い出が消えないうちに』2018年初版発行

サンマーク出版



 

hayms.hatenablog.com

 

 

 

4.『さよならも言えないうちに』2021年初版発行

 

サンマーク出版

 

 

hayms.hatenablog.com

 

 

 

5.『やさしさを忘れぬうちに』2023年初版発行

サンマーク出版

レビュー記事は順次公開予定です。

www.sunmark.co.jp

著者について

著者 川口俊和さんは大阪府茨木市出身。1971年生まれ。脚本家・演出家としても活躍し、2010年には劇団音速かたつむりによる演劇ワークショップ用に書き下ろされた舞台「コーヒーが冷めないうちに」が初演されました。以降も何度か再演され、2013年3月に行われた公演が第10回杉並演劇祭大賞を受賞。2015年には同名小説として出版されシリーズ化しています。現在も川口プロヂュース代表として、舞台やYouTubeで活躍中。

 

 

www.youtube.com

2019年に上演された舞台版「コーヒーが冷めないうちに」がYouTubeで公開されています。

 

 

実写映画化も話題

第一作目「コーヒーが冷めないうちに」が人気を博し、実写映画化されました。この映画がきっかけで書籍にも興味を持たれた方も多くいたと思われます。主演に有村架純さんを迎え、脇を固める俳優陣も素晴らしい方々で、原作ファンにも愛される作品になったのではないでしょうか。原作の世界観を壊すことなく、さらに映像化という違った視点での美しさに感動の一言です。

 

hayms.hatenablog.com

 

 

ぜひ、書籍で、映画で、動画で「コーヒーが冷めないうちに」の世界で温まってください!

Netflixオリジナルドラマが賛否両論⁉『GIRL BOSS』全13話一気見レビュー!!

Netflixオリジナルドラマ

『GIRL BOSS』

Girlboss ガールボス | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

 

ソフィア・アモルーソ著『#GIRL BOSS』を実写ドラマ化!とびきりクレイジーでキュートなソフィアの成功までのストーリーをドラマで一気見!

失敗も過ちもすべてさらけ出したソフィアの自伝は賛否両論を繰り広げました。こんなクレイジーな体験談に学ぶ事がある?あるんです。誰もが自分自身のBOSSである、そう勇気づけてくれる、踏み出す一歩を見出してくれる。女性のためのサクセスストーリーを実写でゆる~く、HOTに見せてくれる、【GIRL BOSS】ぜひご覧ください。

#GIRL BOSSとは?

#GIRL BOSSとは、アメリカの実業家ソフィア・アモルーソの自伝として発売された啓発本です。起業家として成功した彼女のルーツや青春の過ち、バイタリティを存分に詰め込んだ女性による女性のための自己啓発本。サブタイトル「万引きやゴミあさりをしていたギャルがたった8年で100億円企業を作り上げた話」が印象的です。型にはまらない彼女はどのようにファッション業界で頂点に登り詰めたのか!?hayms.hatenablog.com

 

Netflixオリジナルドラマで実写化!

Girlboss ガールボス | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

2017年にNetflixオリジナルドラマとして全13話が放送されました。1話約30分のドラマです。自分の進む道に悩んでる人や壁にぶち当たっている人におススメ!ファッションやビジネスに興味ある人にも必見です!ただし、アメリカならではのちょっと危ないシーンもありますので分別ある大人の方のご視聴をお勧めしますw

Girlboss ガールボス | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

 

www.netflix.com

しかし、Netflixはこの番組のseason1での打ち切りを正式に発表しました。理由は視聴者の評価を得られなかったこととされています。型破りな彼女の成功までの道のりを描いた作品ではありましたが、実際に共感を得られるほど浸透しなかったのは仕方ありません。かなり型破りだから、でしょうか。原作者であるソフィア・アモルーソもInstagramで「私はあのドラマが大好きで、だから終わってしまうことはとても悲しい。すべての人に感謝しているわ」とコメントしていますが、続きが見られないのは本当に残念です。

出演者

ブリット・ロバートソン…ソフィア・マーロウ

エリー・リード…アニー

ジョニー・シモンズ…シェーン

アルフォンソ・マコーリー…ダックス

ディーン・ノリス…ジェイ・マーロウ

ル・ポール…ライオネル

 

あらすじ

20代前半、ソフィアは定職にも就かず、親から心配されるも、自由気ままに自分らしく暮らしていました。しかし、アパートの家賃の滞納から退去勧告を出され意気消沈。おまけに仕事もクビになるわ、謎のこぶもできるわ…人生最悪!そんなソフィアはたまたまネットオークションに出品した自分のジャケットが高値で落札され大金を手にします。自分にはいい物を見定める目と私から商品を買いたいとお客に思わせる才能がある!と気づきます。そして、健康保険証を手に入れる為だけに就いた大学の受付の仕事も辞め、ビジネスを始めます。最初は上手くいかないことばかり…親友ともケンカするし、彼氏には浮気されて。それでももう後戻りはできない!ソフィアの強い意思と素晴らしい仲間との出会い、成功を手にするまでの物語。

 

ドラマタイトルとサムネイル

第1話 ソフィア

第2話 謎のこぶ

第3話 魔法があるところ

第4話 レディー・ショッパー99

第5話 トップ8

第6話 5パーセント

第7話 真夏のロングパンツ

第8話 ロードトリップ

第9話 棒グラフの威力

第10話 ヴィンテージファッションの会

第11話 クズ人間

第12話 ナスティーギャル・ドットコム

第13話 開業パーティ

感想

まず、なんでこんな面白いのに打ち切りなの!?と言わせて下さい。これは個人の感想なので、そりゃそうでしょという声も上がるのは理解しています。そう、賛否両論とはこういうこと。こんなおかしな物語に評価を付けられない、という意見もおありなのだと思います。私は、違います、本当に面白いと思っていて、続きがないのは本当に寂しく思っています。原作の大ファンなので、ドラマでは描かれていない未来もたくさんのトラブルも気になるところ。原作のお話はもっともっとハチャメチャです。例えば、ヒッチハイクしながら過激な環境保護団体の集会に行きマジックマッシュルーム(幻覚作用がある)を食べたとか、大手チェーンスーパーでカートごと盗もうとして捕まったり…!ドラマとして描かれたらどんな風だったのか、とも想像してしまうのですが、描かれた内容もなかなかのハチャメチャで、確かにこれは高評価つけづらいのかも!?しかし、若い女性が思う事やりたい事を等身大で描かれていると思いましたし、応援したくなるし、ハラハラしたり、感情がジョットコースターのようにアップダウンするドラマでした。個人的には、ソフィアの住むアパートのお隣さんライオネルのキャラが大好きでした。ソフィアとのやりとりも面白く、大家のふりをして電話に出て欲しいとソフィアに頼まれたときにはしっかりしたおじさまを演じて合わせてくれるのも最高です。親友のアニーも初めのころは危なっかしい娘だったのにしっかり仕事をこなし昇進するかもと悩むときやソフィアを支える姿に成長を感じました。ソフィアもやりたい事もなくやりたい放題やっていたかと思えばビジネスを始めるあたりからグッと成長して、悔しくて涙を流す姿は普通の女の子なんだと感じました。とにかくどうなるの!?とハラハラしたり、応援したくなったり、ただの小娘のサクセスストーリーなんかではない!といった感想です。

おわりに

今自分の進む道に迷っている人、自身が無くてふさぎ込んでいる人、やりたい事がみつからなくて鬱々としてる人、是非このドラマを見てみて下さい!きっとスカッとして前に進みたくなります。

#ガールボスは、自分の人生を自分で決める人のこと。がんばって働いて、欲しいものは自分で手に入れる。

#GIRLBOSSより引用

原作のレビューはこちらから!

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【小説】「さよならも言えないうちに」レビュー

「さよならも言えないうちに」

サンマーク出版

 

著者 川口俊和

サンマーク出版

2021年9月20日初版発行

 

 

コーヒーが冷めないうちに」「この噓がばれないうちに」「思い出が消えないうちに」に続く第4作品目。この作品は、「思い出が消えないうちに」の発売から3年の月日を経て、待望の出版となりました。もちろんこのシリーズのファンであれば待ち望んだ新作となったのですが、初めてこの作品に出会った人にも心に刺さる作品であったのではないでしょうか?何よりこの作品で描かれた題材として「東日本大震災」の背景があり、現在のこの状況において今一度振り返り、悼み、また歩き出す気持ちをを与えてくれるのではないかと感じました。フィクションではありますが、胸に刺さる気持ちと、人の温もりに救われる気持ちになります。

 

 

あらすじ

「過去戻っても、現実が変わらないことは、わかりました。では、過去に戻って会った相手の、”記憶はどうなるんですか?」
とある街の、とある喫茶店の、とある座席には、不思議な都市伝説がある。それは、その席に座っている間だけ、過去に戻る事ができるというもの。ただし、そこにはめんどくさい、非常にめんどくさいルールがある。

1、過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者には会うことができない 

2、過去に戻ってどんな努力をしても現実は変わらない 

3、その座席には常に白いワンピースを着た女が座っている その席に座れるのはその女が席を立った時だけ 

4、過去に戻っても、席を立って移動はできない 

5、制限時間はカップにコーヒーを注いでから、そのコーヒーが冷めるまでの間だけ

これ以外にも様々なルールがあり、聞いただけで過去に行くのを諦めてしまう人が多い。それでもこの伝説を聞きつけてやって来た人達の心温まる奇跡の物語。

この作品は、「コーヒーが冷めないうちに」の翌年の話として描かれています。

 

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「過去に戻って会った相手の”記憶はどうなるんですか?」そう尋ねたのは、元大学講師の男。相手の記憶に残る事が重要なのだと言います。伝え忘れたことを、伝えておく。過去で起こった事で未来(現在)が変わる事はありません。でも、記憶にはこのルールは干渉しない、というルールの側面がありました。だから過去に戻って伝える、そう決めた男は意を決してその席に座りました。第一話・大事なことを伝えていなかった夫の話。第二話・愛犬にさよならが言えなかった女の話。第三話・プロポーズの返事ができなかった女の話。第四話・父を追い返してしまった娘の話。不思議な喫茶店起こった四つの奇跡。



感想

伝え忘れた事を、伝えておく。それは過去に戻らなくてもできる事です。それは相手が今生きていることが前提。今伝え忘れたことを後悔しているなら、伝えられなくなる前に伝えておくべきだ、とこの本は伝えてくれているのだと解釈しました。それが、自分のためだとしても、相手のためだとしても、伝える事で悪い方へ向かってしまうかは分かりません。登場人物たちは、現実が変えられないという事を分かったうえで伝えたい想いを過去に戻って伝えました。そして、この本の最後のページに書かれた注釈で全て繋がりました。

この物語はフィクションです。実在する人物、店、団体等とは一切関係ありません。ただし、第四話の『父を追い返してしまった娘の話』は、宮城県仙台市のラジオ局『Date fmエフエム仙台)』から依頼をいただき、作者が書き下ろしたラジオドラマ『One more cup of coffee~コーヒーおかわりいかがですか?~』を小説にしたものです。ラジオドラマは、東日本大震災から七年目となる二〇一八年三月十一日に放送されました。

本書より引用

伝えられなくなるなて考えもしなかった日常をあっという間に変えてしまう。それは誰にでも起こりうることで、誰もが考えなくてはいけないことです。今一度、そんなことを考える機会だと感じこの本を読み返した次第です。涙なしでは読めない物語が、重く感じてしまう人もいる事でしょう。誰にとっても素敵で感動する物語なんてないかもしれません。それでも、心温まる時間を欲する人がいるなら、このシリーズを薦めたい、そう思います。

 

おわりに

この物語は、第一作目の「コーヒーが冷めないうちに」の翌年の話として描かれています。なので計と流の子、ミキはまだ赤ちゃんで、過去に戻れるあの席には白いワンピースの女が座っています。その時間の流れも物語を盛り上げる一部の演出だと思います。計が亡くなってまだ間もない時だからこそ愛犬を亡くした男の「一秒でも長く生きて欲しい」という言葉への流の「わかります」は胸を締め付けられます。人はみな少なからず後悔をしながら生きています。その心に寄り添い、干渉せずに気づかせてくれる数のような存在に誰もが出会う事ができたら…もっと素敵な世界になるのにな、と思います。

 

 

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【小説】「思い出が消えないうちに」レビュー

「思い出が消えないうちに」

サンマーク出版



著者 川口俊和

サンマーク出版

 

2018年9月25日初版発行

 

 

コーヒーが冷めないうちに」「この噓がばれないうちに」の続編として出版された本作。

もし、明日、世界が終わるとしたら?

人生は選択の連続です。何を飲もうか?といった小さな選択から人生最大の選択を迫られる時もあります。物語の中で”もし、明日、世界が終わるとしたら?”その質問に2択で答えるという1冊の本が登場します。このお話はいわば、2択、過去へ”行く”か”行かない”かを選択をした人達の奇跡の物語。伝えるか伝えないか…。あなたなら過去へ行く・行かない?未来は変えられなくても、何か変化があるかもしれません。今どの選択をするか、で。

 

 

あらすじ

とある街の、とある喫茶店の、とある座席には不思議な都市伝説があった。その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという

ただし、そこには面倒くさい…非常に面倒くさいルールがあった

この物語はそんな不思議な喫茶店で巻き起こる奇跡のお話。舞台となるのは、北海道にある「喫茶ドナドナ」。店主の時田ユカリは、世話好きで自由人。出会った少年の父親を探す旅にフラッとアメリカへ行ってしまった。そんな店主の一時不在を助けるため息子である時田流は東京の自身の店「喫茶フニクリフニクラ」に娘を残し、従妹である時田数、数の娘の幸とともに北海道へやって来た。この喫茶ドナドナにもまた、”過去に戻ることができる席”が存在している…。「ばかやろう」が言えなかった娘の話、「幸せか?」と聞けなかった芸人の話、「ごめん」が言えなかった妹の話、「好きだ」と言えなかった青年の話。過去に戻ってどんな努力をしても現実は変えられない。それでも
過去に(未来に)行くことを選択した人たちの、感動の物語。

 

 

 

感想

本作の舞台となるのは、「コーヒーが冷めないうちに」から14年後、北海道函館市にある「喫茶ドナドナ」です。「ドナドナ」は時田流の母、時田ユカリが営む喫茶店で、ユカリは時田数の母の姉。そして、このドナドナにも「過去に戻れる不思議な席」が存在しているのです。過去へ行くためのコーヒーを入れられるのは”時田家の女だけ。そんな事情から、流はフニクリフニクラに娘を残し、二美子達に店を任せて北海道にやって来たのでした。「コーヒーが冷めないうちに」で流の妻・計が過去に戻った時に流が北海道にいる、というハプニングの正体はこういう事だったのか、という伏線回収もあり、さらに「この噓がばれないうちに」で、数が妊娠していたという話の続きもきちんと説明され(娘はもう7歳!)さらに夫は世界を飛び回る有名な写真家だという事まで明かされました。そんな、「コーヒーが冷めないうちに」「この噓がばれないうちに」の続編となった本作は、舞台も変わり、お馴染みの常連客も違うメンツとなり、新しい物語のようで、それでいていつものように鋭い観察眼の数や、実直な流に安心します。そして、新たな登場人物として数の娘・幸も加わりました。しっかりとした幸はさすが数の娘だな、と感心させられます。そして、常連客の女性たち、従業員の青年。突如渡米してしまった店主の時田ユカリ。それぞれの物語で奇跡を起こす登場人物たち。このシリーズは本当に読みだすと沼にハマってしまい一気に読んでしまいます。今回の物語で特に印象的だったのは、(全部素敵なお話なんですが)「ごめん」が言えなかった妹の話。妹を亡くし憔悴しきった彼女の前に妹が現れます、もちろん過去から…。この席には未来にも行くことができます。その時間に合わせて会いたい人が店にいてくれることを約束した上で。妹の雪華は自分が亡くなってしまったあとの姉・麗子の事が気がかりでした。そこで未来(自分が死んだ後)に姉を店に取れてきてくれるよう頼み、あの席に座ります。このお話で一番の演出が、”停電”です。ページをめくって思わず「わっ」となってしまいました。仕掛け絵本というわけではないのに、この演出には情景を感じられ引き込まれました。そして、”停電で互いの顔が見えないというのもこの二人にとって大切なシチュエーションであったのだと感心します。本の演出でこのような感動を感じたのは初めてでした。小説には、行間や改行、字の大きさ、様々な表現で心情や情景を表すものがあります。そんな手法の中でもこの演出はグッと引き込まれます。そして、最後にもこの作品には息を飲まされました。作中に登場する『もし、明日、世界が終わるとしたら?一〇〇の質問』という一冊の本。この本も登場人物のスパイスとなり一役買っているのですが、最後のページに書かれたあとがきが、記されています。その言葉には、このシリーズを通しての本質であるような言葉があり、余韻に浸りこの作品を読み終わっても心に残るものとさせてくれました。

www.sunmark.co.jp

 

 

おわりに

シリーズ物で、登場人物のその後が描かれるものは多くあります。そういった歴史を辿りながらそれぞれの成長や変化を楽しめるのもシリーズ物の楽しみです。この作品では1作目から14年後、2作目からは7年後となっていますが、その空白をもしっかり楽しめるような内容であり、新しい出会いもあり、新鮮でありながらどこか落ち着く、そんなシリーズです。(我が家では「うちに」シリーズと呼んでいますw)どんな年代の人でも楽しめ、感動できる小説で、語り継いでいきたいなと思う作品です。

 

シリーズ1作目の「コーヒーが冷めないうちに」レビューはこちら!

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実写映画もおススメ!原作を読んだらもっと理解が深まり楽しみも倍増!

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