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本(特に実写化されてる!)が大好きな主婦がおススメの本と映画を紹介するブログです。気ままにのんびり個人の感想を述べる。ただそれだけのブログです。共感されたい!

【小説】「凶器は壊れた黒の叫び」|階段島シリーズ第4弾!!ついに物語の佳境に突入 いなくなれ、群青続編

「凶器は壊れた黒の叫び」

新潮社

平成28年1月1日  発行

平成28年11月25日  3刷

著者  河野裕(こうの ゆたか)

発行  新潮社

 

 

「階段島シリーズ」第4弾となる本作は、ついに魔女と階段島についての新たな局面、そして七草の秘密が明らかになる大切な物語になっています。前作「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」から登場した謎の少女、安達が階段島に来た目的が明らかに。そして巻き起こる嵐。心を穿つ青春ミステリ第4弾をレビューしていきます。

 

あらすじ

階段島にやって来た謎の少女、安達は大地のために新聞部を設立するためクラスメイトに声をかけた。そして、その思惑は魔女を追い詰める為の罠だと気づいた七草は裏から手を回す事でなんとか守ろうと画策するが、事態は違った方向から動き出した。堀の不幸を証明し得るのは…七草だと…。魔女の理想と幸福、そして不幸とは?

 

感想

なんと言っても七草の隠された過去について明かされるところでは驚きと納得が入り交じり、こんな展開は予想もしていませんでした。七草と堀の関係についてへの納得と、魔女の言葉の意味、様々な伏線が回収された今作。そして安達の不穏さがこの物語に深みを持たせ最後までハラハラします。安達と七草は似ていると表現される事が多く、それも納得の会話が繰り広げられ、読み返しながら理解して行くのですが、この2人は本当に少し未来にいるのではないかと思うほど先回りした会話で、文章なのに表情がはっきり見える表現ささすがの一言。そして、七草と堀の関係…ネタバレをなるべく含みたくないので遠回しになるのですが、悲しくも美しく儚い、そんな印象で、幸せになってくれたら良かったのにと思ってしまう私はとても幼稚で愚かなんだろうと思います。そんな風に思わされるほど、複雑に入り組んだ理想と幸福、そして不幸の証明が、最後どんな結末を迎えるのか…まだまだこの階段島にはたくさんの秘密や思いが詰まっているのだと思います。そして、タイトルのセリフが毎度本編の終盤に登場します。いつもハッとさせられるのですが、今回の「壊れた黒」というのが本当に切なく、「凶器」の意味が深く…こんなにもタイトルに心奮わされた作品はありませんでした。私には難しい話で、何度も何度も頭の中で考え、読み返して納得していくという作業をし理解していくのですが、それが病みつきになっています。この作品は本当に魅力的でシリーズ全6冊は、何度でも読み返せる、そんな大作だと思います。

 

 

ここからの続編

夜空の呪いに色はない

きみの世界に、青が鳴る

 

 

これまでのレビュー

おわりに

階段島シリーズがいよいよ佳境に入って来たという物語でした。魔女の正体も魔女や魔法についても、どうして島が作られたのか、魔女の理想は…など、はっきりと描かれ、さらに新たな展開が繰り広げられ、目まぐるしく変わる状況に感情が忙しく動かされる1冊だったと思います。シリーズを通して、ここまで全体を明らかにするストーリーは初めてだったと思うので、いよいよ結末が見えてくるのだと感じさせられ、終わって欲しくないような、全てを見届けたいような…とこの作品の虜になっているわけであります。さて、この後に続く「夜空の呪いに色はない」はいよいよ、島に来た唯一の小学生、大地についてもっと明らかになって来ます。続きもお楽しみ下さい。

 

 

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「いなくなれ、群青」続編第3弾「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」※ネタバレあり 1作目・2作目まだの人は読まないで!

「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」

新潮社

平成28年1月1日 発行

平成28年10月30日 4刷

著者 河野裕(こうの ゆたか)

発行 新潮社

 

 

この作品は階段島シリーズ第1作目「いなくなれ、群青」と、2作目「その白さえ噓だとしても」の続編として描かれていますが、この世界の秘密がしっかり明かされる大事な物語になるので、1作目・2作目をまだ読んでいない方はこの記事も読まないでくださいm(__)m

階段島に来る前の七草、真部のお話、そして現実世界と階段島をつなぐ「魔女」の存在、現実の七草、真辺が捨てたものは?そして、現れた謎の少女・安達。魔女を探すため手を組むことになった七草と安達が辿り着いた結末は…。そして、悲しい境遇の小学生 大地を救う為に真辺は葛藤するが…。

 

あらすじ

「引き算の魔女ー。」ひっそりと語り継がれる噂話。引き算の魔女は人格の一部を消し去ってくれる。例えば怒りっぽい人格、怠惰な人格…そんな自分のいらない人格をスポっと抜き取ってくれる魔女がいる。夏休みの終わり、真部由宇と再会したことをきっかけに七草は魔女を探す安達という少女と手を組み噂を追い始める。そして現実世界での七草は失くした人格と現実の自分と葛藤しながら、悲しい運命を目の当たりにする。

 

重要人物の登場

「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」で登場する新しい人物 安達 は、七草と同じ年の高校1年生の女の子。魔女を名乗ったホームページを開設していて、そこにメッセージを送ってきた七草に興味を示し会う事になります。七草と雰囲気、思考が似ているように感じられますが、魔女を追う理由にはどんな秘密があるのか、彼女の目的は?正体は?まだまだ分からない事が多い謎の少女です。

 

感想

ここからはネタバレを含む感想を書いていきたいと思いますので、まだ1作目2作目を読んでいない方は戻っていただき他のレビューをぜひ読んでみて下さい。

 

 


 

 

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まずこの「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」は、現実世界のお話 という点がポイントです。階段島が捨てられた人たちー、つまり引き抜かれた人格が集められた島であり、人格を捨てた側の人々の世界がもちろんあります。「いなくなれ、群青」では実際に七草は現実世界の七草と会っています。そこで「相原大地を探して守れ、真辺がそれを望んでいる」と伝え、その通りに七草と真辺は大地を探し出し救う方法を模索していきます。さて、この現実世界での七草が何を捨てどのように変化したのか…。捨てた人格の分の空白を埋める作業と七草が表現し、葛藤していく様子も描かれ、捨てたもの、そして真辺への複雑な想いが文章で語られることがとても美しく、言い表すことが難しいようなもどかしさや痛みを感じました。大地という存在を通して、七草が愛した真辺の人格が変化していくことへの恐怖や絶望感が悲しくもあり成長を見届けるようでもあり、恋と呼ぶんだという表現がこんなにも重いのかと唸らされます。プロローグで、七草はこの物語を「ひとつの初恋が終わるまでの物語として、あるいは、ひとつの初恋が生まれるまでの物語として。」と言っています。この言葉の意味を最終章で理解した時、胸に衝撃が走りました。これが七草にとっての「恋」になったのだと。それを成長と呼ぶのか、捨てたと言うのか…。

そしてもう一つの大きな展開として、現実世界でも”魔女”が七草たちの前に姿を現します。階段島での印象と違いはありませんが、安達とは何か以前からの知り合いのような雰囲気で、安達の不穏さがどんどん増していきます。安達は敵なのか?善なのか、悪なのか。ラスト、安達は階段島に現れます。階段島の七草がなんのためにこの島に来たのかと聞くと、「奪い取るため」と答えた安達。新たな嵐の予感で物語は終結します。一気に現実と階段島が繋がる今回の物語…秘密が明らかになるのが近づいている気配にワクワクが止まらず、続編へ手を伸ばしてしまいます…。もっとゆっくり楽しみたいけど続きが気になる!これからどうなるの!…と。この後「凶器は壊れた黒の叫び」へと続きます。

 

おわりに

この物語で一気に現実感が表されて、魔女の存在だったり七草や真辺が人格を捨てたのだという真実とその現実の姿にリアルな若者の気持ちが描かれ”階段島”での七草たちとはやはり違う人格なのだと感じさせられます。正直、七草の表現には難しさを感じていましたが何度も読み返すことでより理解が深まりどんどん自分の中に沁み込んでいくような気がします。このシリーズ、河野裕小説に出会って良かったなと、自分の成長も感じられお薦めの作品です。

 

小ネタ:階段島で堀が暮らす寮「コモリコーポ」が現実世界でも「古森コーポ」として登場します。これは、安達が魔女、つまり堀に会うために大地をかくまったアパートの名前ですが、偶然同じ名前というわけではないはずです。何か仕掛けがあるのでしょうか⁉

 

 

「いなくなれ、群青」のレビューはこちらから。登場人物なども紹介しています。

「その白さえ噓だとしても」のレビューはこちらから。魔女正体が明らかに…‼


 

 

 

 

 

【小説】「その白さえ噓だとしても」|階段島シリーズ  心を穿つ青春ミステリ「いなくなれ、群青」続編

”階段島シリーズ” それは、小説「いなくなれ、群青」から始まる青春ミステリ。シリーズ第2弾「その白さえ噓だとしても」をご紹介します。

新潮社



 

いなくなれ、群青

シリーズ第1作目

平成26年9月1日 発行

令和元年8月30日 18刷

著者 河野 裕(こうの ゆたか)

新潮社発行

新潮社



ある日唐突に階段島に連れてこられた高校生、七草。「ここは捨てられた人たちの島です」そう告げられ、ここから出るためには失くしたものを見つけなければいけないという…彼らはなぜ捨てられたのか?そして階段島とは何なのか?その謎を追うつもりもなないままただ平穏にくらしていたが、かつての友人、真辺由宇との再会で七草はこの島の秘密に直面していくことになる。

 

詳しくはこちらの記事で紹介しています。あらすじから、主な登場人物についても説明していますのでぜひこちらからご覧ください!
 

その白さえ嘘だとしても

シリーズ第2作目

平成27年6月1日 発行

 

あの頃の僕らは、誰かのヒーローになりたかった。

 

あらすじ

クリスマスを目前に控えた階段島を事件が襲う。島の唯一の物資ライフラインであるインターネット通販が使えなくなってしまった。犯人と噂されるハッカーを探す真辺、後輩女子のためにヴァイオリンの線を探す佐々岡、島に流れるクリスマスの七不思議に巻き込まれる水谷。そして、それぞれの事件が交差するとき、七草は階段島最大の謎と対峙する。

 

登場人物

七草

高校一年生の夏、突然この島に連れてこられたが、ここでの暮らしを気に入っている。真辺由宇への複雑な思いを持ったまま、階段島の秘密に直面していく。

真辺由宇

とても真っすぐな理想主義者で、どんな問題にも立ち向かっていく。

佐々岡

いつもイヤホンでゲームミュージックを聞いている明るい少年。七草たちのクラスメイトで、偶然出会った中等部の女の子のため、ヴァイオリンの線を探し回る。

水谷

七草たちのクラスの委員長で、真面目で頼られる存在。人間関係をうまくやり過ごす事をモットーとしていて、誰にでも優しく困っている人を放っておけない。

背が高く目つきの悪い無口な女の子。七草には心を開き始めている。

豊川

水谷の寮の後輩で中等部の生徒。ストーカー被害に遭っていると水谷に相談する。

時任

階段島の郵便配達員。クリスマスイヴ大量に投函されたクリスマスカードの配達に朝から島中をカブで走り回っている。

相原大地

島にいる唯一の小学生。七草たちの寮で暮らしている。クリスマスイヴなぜか姿がみられなくなりアパートの一室で見つかる。

魔女

階段島を管理する魔女。島のすべてを管理しており万能の魔法で人々の生活を守っている。誰も正体を知らない。

ミュージシャン

ゲームセンター「ガレキ」に月に1度現れる謎の女性。一言も喋らず音ゲーで高得点を叩き出し、去っていく。

 

 

 

ポイントとなる「クリスマスの七不思議」

 

1. 恋愛成就のサンタクロース。

とても律儀なサンタクロースがいて、彼に「恋人が欲しい」と手紙を出すと、好きな相手をさらってでも連れてくる。

2. 海辺に落ちている手袋。

クリスマスイヴには、小さなお地蔵様がある海辺の通りに、必ず手袋が落ちている。

3. 魔女の手先のクリスマスパーティ。

魔女は階段島を監視するために、住人たちに手先を紛れ込ませている。その手先たちがイヴに集まって行う秘密のパーティがある。

4. 島に逃げ込んだ犯罪者。

凄腕のハッカーホワイトハウスツイッターアカウントを乗っ取った。結果、大問題になり階段島に逃げ込んできた。

5. 必ず失敗する演奏会。

イヴの演奏会は呪われていて、絶対に開催されない。強引に開こうとすると悲劇が起こる。

6. 毎年クリスマスケーキが供えられるお墓。

島のどこかに、イヴに欠かさずケーキが供えられているお墓がある。

7. 願いが叶う聖夜の雪。

階段島のイヴには雪が降る。雪が降る夜空に向かって願い事をすると、それが叶う。(追加されたver :相手が望むものをプレゼントしたのにお返しを貰えなかった人が、雪の降る夜空に願い事をすると叶う)

 

感想

このお話での最大のポイントは「魔女」でした。インターネット通販が止められてしまうという大事件は何を意味しているのか?その大事件と島に流れるクリスマスの七不思議の噂、それぞれが交錯し、それぞれの想いが見えた時、悲しくも美しい想いに息を飲まされました。一話「みんな探し物ばかりしている」ではその名の通りみんながそれぞれ探し物をしています。中でも印象的で、この物語の中枢になる佐々岡くんの探し物「ヴァイオリンの線」がもたらす結末が苦しくもあり、素敵で、このシリーズを通しても一番真っすぐで青春の若者を象徴する素敵な物語だったのではないかと感じます。同じく、水谷さんが探すもの、頼られる事、そして自分の心と向き合ったときのどうしようもない感情に戸惑う姿や動揺に胸が締め付けられるような気もします。この物語では「ヒーロー」という言葉がたくさん出てきます。ヒーローについての定義だったり、憧れだったりが、若者たちにとってたくさんの意味を持たせ奮い立たせる魔法となっています。こんなにも真っすぐに信念を貫けるのも若さゆえ、この島ゆえなのだと感じました。真辺由宇はどこまでも真辺由宇であり、七草はやっぱり七草で。その存在が怖くもあり安心もあり、階段島シリーズの奥深さに感心します。

 

 

 

 

この後の続編はこちら

汚れた赤を恋と呼ぶんだ

凶器は壊れた黒の叫び

夜空の呪いに色はない

きみの世界に、青が鳴る

 

おわりに

「階段島シリーズ」初めは、「いなくなれ、群青」という作品自体がシリーズ物だという認識もなく読み始めていたので、慌てて続編を探しました。それほど先が気になってしまう物語だったのです。この「その白さえ噓だとしても」は登場人物の視点ごとに時系列を追って描かれていて、主人公である七草以外の人物のストーリーを読んでいきます。なので、今回のように佐々岡だったり水谷だったりと、七草とは違ったある意味での普通の高校生の心情が描かれているので、もどかしいような苦しいような甘酸っぱい気持ちを体感できます。私には難しい表現も多く何度も文章を読み返して理解しようと努めたりもしてしまうのですが、この世界観が独特で没入してしまいます。この先にもまだ続いていくので、ぜひそちらのレビューもご覧いただけたらと思います。

【アニメ】ついに放送開始!!アニメ「ゆるキャン△」SEASON3 ~SEASON2までをおさらい~

TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON3』公式サイト

 

ついに始まりました!アニメ「ゆるキャン△」SEASON3。

キャンプブームの火付け役となったと言っても過言ではないこのアニメ。

これまでの内容を振り返りつつ、SEASON3の予習をしていきましょう!

(こちらではアニメの進行を基本としてまとめています。)

 

ゆるキャン△」とは?

山梨県の高校に通う女の子たちがゆる~くキャンプを楽しむ!主に「冬キャン」と呼ばれるオフシーズンに楽しむキャンプで、ソロで楽しんだりグループでワイワイしたりと、女子ならではのほのぼのしたキャンプアニメ。便利なキャンプ知識やギア、キャンプ飯など見どころも満載で、女の子たちのゆる~い日常もほっこりします。舞台となるのは山梨県で、ロケーションもしっかり描かれ、富士山をメインとする景色が盛り沢山。細かく描かれた街の様子も素敵で聖地巡礼にファンが押し寄せる事も。アニメ内で紹介されるご飯などもとてもおいしそうに描かれ、作ってみたくなったり、お土産に買いたくなってしまうものばかり!地域密着・親近感満載のゆるアニメはどの年代の方でも楽しめるアニメです。原作コミックをアニメ化したもので、2期分の放送と映画も公開されています。

登場人物

志摩リン

祖父の影響で中学生の頃から冬のソロキャンを楽しんでいるクールな女の子。大きなお団子ヘアがチャームポイント。原付で遠方まで足を運んでキャンプするほど旅慣れしていて、各地の観光も楽しんでいる。なでしことの出会いでグルキャンの楽しさにも触れ、他のメンバーとも仲を深めていく。

各務原なでしこ

静岡から山梨に引っ越してきて、富士山を見に行った先でリンと出会う。リンとの出会いでキャンプにハマり転校先の高校で「野外活動サークル」(通称「野クル」)に入る。明るく少し天然なキャラで周りを和ませる魅力がある。

大垣千明

「野クル」の部長的存在。(なでしこが「部長!」とふざけて呼んだりする)みんなを引っ張っていく一面もあるが、思いつきで行動するタイプで失敗することもある。頼れるムードメーカー。

犬山あおい

関西弁のおっとりしたキャラクターでキャンプの知識も豊富。時々ホラ吹きキャラに変貌しなでしこを混乱させる。妹のあかりもキャンプに同行するようになる。

斉藤恵

リンとは元から仲良しであったが、ひょうんなことから野クルのメンバーとも仲良くなりキャンプにもハマっていく。ふわっとした自由人で野クルへの加入は断っている。愛犬のちくわをこよなく愛している。

野外活動サークル

通称「野クル」(のくる)。千明、あおい、なでしこの三人しか部員はいなく、部室もうなぎの寝床のような用具入れを活用している。顧問の鳥羽先生はキャンプに同行引率することもある。普段の活動は校庭で落ち葉を燃やし紅茶を入れたり、テントやタープの設営の練習をしたりする。ギアを買ったり、キャンプ費用にするためそれぞれバイトも忙しくしている。ギアはネットショッピングで探したり、アウトドアショップに出向いたりする。SEASON2の最後では、野クルのメンバーに加え、リン、恵那、あかりと共に伊豆へ「伊豆キャン」へ出かける。

舞台となる山梨県

登場人物たちが暮らすのは山梨県。身延や南部町など実際に存在する地をモデルとしていて聖地巡りのツアーも組まれるほど。登場人物たちは山梨県を中心に活動し、静岡県にも足を延ばすこともある。キャンプ地として訪れる場所は実際にキャンプサイトとして運営されている場所がほとんどで、アニメに登場する景色が見られる。リンは自分の原付バイクで移動し、野クルのメンバーは主に電車やバス、徒歩で移動しキャンプ地へ向かったり観光している。顧問の鳥羽先生の引率で車移動のときもある。

 

アニメSEASON1

ソロキャンを楽しむ女子高生のリン、静岡から山梨へ引っ越してきたばかりのなでしこ。2人の出会いから始まるアウトドア系ガールズストーリー。

富士山を見るため1人山に登ってきたなでしこはあいにくの曇り空で富士山も見えず疲れからベンチで眠りこけてしまう。目覚めた頃あたりはすっかり暗くなりスマホもなく帰り道もわからない…そんななでしこが出会ったのは1人でキャンプに来ていた女の子リン。2人で焚き火を囲み、カレー麺をすすっていると、雲が晴れ月明かりに浮かび上がる富士山と湖の景色が。この出会いをきっかけになでしこはキャンプの魅力にハマっていき、転校先の高校で「野外活動サークル」通称”野クルに加入する。そして、なでしこの加入を機に恵那やリンも野クルと関わりを持ち始め、みんなでアウトドアを楽しむようになっていく。

アニメSEASON2

晦日、リンは1人自宅を出発していた。大晦日キャンプで静岡を目指すために。原付バイクで旅をし、1人キャンプを楽しみ、これまでの事を思い出していた。なでしことの出会い、野クルのメンバーや恵那たちとのグルキャン。でもやっぱりソロキャンも大好きだと改めて感じていた。そんなリンの姿を見ていたなでしこもいつしかソロキャンをしてみたいと思い始める。なでしこのソロキャン計画を応援しつつも心配なリンと姉桜。2人は連絡が取れなくなったなでしこが心配でキャンプ地まで様子を見に行ってしまうのだった。なでしこソロキャンの成功や千明、あおい、恵那の山中湖キャンプの失敗を経て、全員参加の「伊豆キャン」が始まる!観光スポットを巡り、誕生日を祝い、楽しいキャンプは皆の心に深く刻まれていった。

アニメSEASON3

2024年4月4日より順次放送スタート!ついに始まりましたSEASON3。これまでと変わらずゆったりとしたアウトドア系ガールズストーリーが帰ってきます。野クルのメンバーにリン、恵那、そして新しいキャラクターも登場!どんなストーリーが始まるのでしょう。
調べたところによると(原作コミックは読んでいないのでm(__)m)大井川編という人気の高いストーリーが展開されるとの事。第2話でもリンと綾ちゃんがメッセージでやり取りしてなでしこを誘っていました。そして野クルの活動も見逃せません。アニメは全12話放送の見通しです。

新キャラクター

瑞浪絵真

中津川メイ

 

映画

2022年に公開されたアニメーション映画で、SEASON2の伊豆キャンから数年後のお話。大人になった登場人物たちの変わらぬキャンプ愛や仲間の絆にほっこりします。名古屋の小さな出版社で働くリン、東京のアウトドア店で働くなでしこ、地元で小学校の教師となったあおい、横浜のトリミングサロンで働く恵那、そして山梨の観光推進機構に勤める千明によって彼女たちはそれぞれの場所から再び集まって、ある山奥の土地をキャンプサイトとして蘇らせる企画を成功させるため奮闘することに!

yurucamp.jp

原作コミック

漫画の殿堂・芳文社

漫画『ゆるキャン△』(原作 あfろ・芳文社公式マンガアプリ『COMIC FUZ』にて連載中)2024年4月現在で、全16巻が発売されています。

実写ドラマ

実写ドラマとして2期まで放送された本作は、アニメからの実写がここまで再現度高く完成されている作品もそうそうないのではないでしょうか。(※個人の感想です。)

リンちゃんのクールさや、口調もまさにそのまま!なでしこの元気いっぱいな愛されキャラも大原さんが演じるともはやそのまま飛び出してきたのかと思うほど。ストーリーもアニメと同じですが、実際の景色やキャンプギア、リアルな表情でまた違ったゆるキャンを楽しめるドラマでした。

テレビ東京

キャスト

福原遥 ・・・ 志摩リン

大原優乃 ・・・ 各務原なでしこ

田辺桃子・・・ 大垣千明

箭内夢菜・・・ 犬山あおい

志田彩良・・・ 斉藤恵那 

 

おわり

この作品と出会うまでは、キャンプと言ったら「夏休みに家族で沢山の荷物を車に乗せ、何時間もかけて山奥や川へ行き大きなテントを広げわいわいBBQをするもの」という認識でした。しかし、このゆるキャン△ではそんな大げさなキャンプは滅多にしません。バックパック1つに小ぶりなテント、折りたためるコンパクトなチェア、珍しいキャンプグッズなどでゆったりとオフシーズンにキャンプを楽しんでいるのです。ご飯も大きなBBQセットなどは使わず、小さなガスコンロで様々なキャンプ飯を披露してくれます。それはそれは美味しそうで、温かくて。ゆったりした会話も、まるでコントのような会話も、全部がゆる~くほっこりさせてくれます。こんなゆったりしたアニメ、漫画、ドラマが大好きで、何も事件なんか起こらなくて、誰も死ななくて(ジャンルの違いw)そんなゆったりしたこのゆるキャン△が大好きなのです。ゆるキャン△に出会った私もアウトドアに興味を持ち始めました。実際にはキャンプに行ったりはできません。でもこんなギアがあるんだ、こんな料理が作ってみたい、など想像したりしていつかはオフシーズンにソロキャンへ出かける事を夢見ています。

【舞台】『ハリー・ポッターと呪いの子』はどこで観られる?キャストは?徹底解説!!

世界中で大人気を博したJ.Kローリング著ハリーポッターシリーズ。その8作品から時は流れ19年後の世界を描いた舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」が各国で上演されています。舞台で体感するハリーポッターの世界はどんな魔法の世界へ誘ってくれるのでしょう。

 

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式サイト

 

 

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』とは

ハリー・ポッターと呪いの子』とはJ.Kローリングが描くハリーポッターシリーズの世界から19年後、ハリー達が大人になりそれぞれの子供達との物語、そして過去の栄光や葛藤、迷いや苦悩から描かれる”その後の世界”。舞台という手法で表現される魔法の世界は原作者も絶賛するほど特別な物となっています。ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、オーストラリア・メルボルン、ドイツ・ハンブルク、カナダ・トロントの6都市で開幕。東京公演はアジアとしては初、世界では7番目の上演となりました。日本オリジナルキャストで上演中のこの作品、上演時間はなんと3時間40分。休憩を挟み、第1幕、第2幕として構成された演出です。

 

さらにその舞台脚本を書籍化したものも世界中で愛され大人気を博しています。

書籍版『ハリー・ポッターと呪いの子』のレビューはこちらから!

hayms.hatenablog.com

 

 

ストーリー

かつて「ホグワーツの戦い」と称された闇の帝王ヴォルデモートから世界を救う戦いがあった。19年後、その戦いの中心にいたハリーポッターハーマイオニー、ロンはそれぞれ大人になり家族を持ち平穏に暮らしていた。しかし、ホグワーツへの入学が決まったハリーの息子アルバスは、英雄の家に生まれた運命への反感から父との関係も上手くいかず、ハリーもまた息子との関係に悩んでいた。そんな中アルバスが出会ったのは、父ハリーと犬猿の仲であったマルフォイの息子スコーピウス。彼との出会いで運命の歯車が動き出し新たな冒険への幕開けとなるー。

キャスト

日本版オリジナルキャストとして厳しいオーディションで決まった至高のキャスト!

ハリー・ポッター役は日程によって3人の俳優さんが演じられました。2024年6月をもって卒業される演者さん、新たに新キャストとして7月公演より仲間入りされる演者さん、それぞれチェックしていきましょう。

ハリー・ポッター

藤原竜也(6月23日卒業)

石丸幹二(4月17日卒業)

大貫勇輔(6月20日卒業)

平方元基 NEW

吉沢悠  NEW

ハーマイオニー・グレンジャー

中別府葵(6月末卒業)

笹本玲奈(6月末卒業)

木村花代  NEW

豊田エリー NEW

ロン・ウィーズリー

竪山隼太(4月27日卒業)

迫田孝也(6月末卒業)

石垣佑磨

ひょっこりはん NEW

矢崎広  NEW

ドラコ・マルフォイ

松田慎也(6月末卒業)

宮尾俊太郎(3月30日卒業)

内田朝陽

永井大  NEW

ジニー・ポッター

馬淵英里何(6月末卒業)

白羽ゆり

大和田美帆(6月末卒業)

大沢あかね NEW

アルバス・ポッター

藤田悠(6月末卒業)

福山康平(6月末卒業)

佐藤知恩 NEW

渡邉蒼  NEW

スコーピウス・マルフォイ

門田宗大(6月末卒業)

西野遼

浅見和哉 NEW

嘆きのマートル

佐竹桃華

出口稚子 NEW

ローズ・グレンジャー・ウィーズリー

橋本菜摘

飛香まい NEW

デルフィー

宝意沙友莉

鈴木結里

乃村美絵 NEW

マクゴナガル先生

榊原郁恵

高橋ひとみ

香寿たつき(6月末卒業)

 

NEWは7月からの新キャスト、それ以外のキャストは継続出演)

劇場

この作品が上演されるのは東京都赤坂にある「TBS赤坂ACTシアターインパクト大なロゴの看板が目を引く外観もさることながら、ひとたびドアを開けて中に入ればそこはハリーポッターの世界観を彷彿させる真紅のカーペットに天井には星空が広がりまさに魔法の世界への入り口のようです。

TBS赤坂ACTシアター

住所
〒107‐8006
東京都港区赤坂5‐3‐2 赤坂サカス内

公式グッズ

劇場の2階にある公式ショップでは舞台オリジナルのグッズが販売されています。公演プログラムからオリジナルTシャツ、マグカップホグワーツの4つの寮のマフラーもあります。これらのグッズは公式オンラインショップでも購入可能です。

舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」公式グッズ

カフェ

劇場1階にはカフェ「THEATER BASE(シアターベース)」もあり、軽食やお洒落なドリンクが楽しめます。ラップサンドやドーナッツ、キャラメルポップコーンもあります。ただし劇場への持ち込みが可能なメニューは蓋つきのドリンクのみなので注意が必要。

カフェメニュー

チケット情報

現在2024年10月公演までのチケットが販売されています。

チケットの購入には、「ホリプロステージ」「TBSチケット」どちらかへの会員登録が必要で、ホリプロステージでは公演の1時間前まで、TBSチケットでは公演2日前の22時まで購入が可能です。また当日券の販売もあります。各公演開演の1時間前より劇場窓口にて先着順に販売され1人1枚の販売です。出演するキャストから観覧日を決めたい人にもキャストスケジュールが確認できるので安心!座席はランク分けされていて、C席からSS席、さらに「9と4分の3番線シート」(特典が盛りだくさんの特別チケット!)という席も確保されています。それぞれランクによってお値段が変わってきますので座席表と空き状況を確認して席を指定しましょう。


【2024年7月~10月公演 チケット販売情報】
〈先行発売〉3月9日(土)10:00〜3月22日(金)23:59
〈一般発売〉3月23日(土)10:00〜

 

 

おわりに

世界中が夢中になったあのハリーポッターの世界を舞台で体感できるのは世界でもまだ数少ない公演。日本で上演されているのなら見に行きたいのがハリポタファンの心情ですよね。東京での公演のみなのでチャンスがあるならぜひ公演を見に行って欲しいと思います。私は残念ながら今のところこの劇場に向かう事が出来そうにありません。ポートキーがないので…。観劇された方の感想を拝見し、本を読んで楽しみたいと思います。

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式サイト

 

【小説】「いなくなれ、群青」”階段島”シリーズ1作目!ここから始まる青春ミステリから目が離せない!

【小説】「いなくなれ、群青」

新潮社



 

著者 河野裕

2014年9月1日 発行

2019年8月30日 18刷

発行 新潮社

 

 

あらすじ

" 階段島"どこにあるのか誰も知らない、この島から出るためには「失くしたもの」を見つけるしかない。そんな奇妙な島に突然連れてこられたものの、平穏な日常を過ごしていた七草。彼はこの島では最も会いたくなかった人物、真辺由宇と再会する。2年間離れていた彼女との再会は七草の日常を変えていき、この島の謎に向き合ったとき、残酷な真実に辿り着く。

 

階段島のルール

  • 島から出る事はできない。(失くしたものを見つけるまで)
  • 通信手段は使えない。(スマホはインターネットの閲覧はできるし、ネットショップも使えるがメッセージを送信したり電話を掛けることはできない。)
  • 学生は学校に通い、寮で暮らす。大人は仕事を持つことができる。(店や病院、郵便局などもある。)
  • 衣食住に困る事はないが、お金が欲しければアルバイトもある。
  • 島は魔女に管理されている。失くしたものが見つかったら”遺失物係”へ報告する。

感想

不思議な物語、というのが最初の印象でした。「捨てられた人」というのも、島から出られないというのも不思議で、でもそこで暮らす人々は何不自由なく平穏に暮らしているのです。監禁されてひどい仕打ちを受けている訳でも労働を強いられている訳でもなく、ただそこで暮らしているのです。ただ、島から出ることはできない…という、他の物語では無かった内容に引き込まれました。なぜ島に連れてこられたの?なぜ出られないの?もしかしたら夢オチ?と勘繰りながらも読み進めていくと、終盤に謎が解け納得できたような不思議なような…といった感じで、これが続編のあるシリーズ物であることに救われました(w)魔女という登場人物のおかげでSF感は残されながらも、そこにある物語は少年少女の心の問題であり、不思議な世界観のミステリです。この1冊の結末として概ね納得はできたのですが、これからどうなるのか?といったわくわくも残してくれる素敵な作品でした。青春を過ごす子供たちにもおススメしたい1冊となっています。残念ながらシリーズ物と知らずにこの1冊のみを購入していたので続きが気になるところではありますが、これから買いそろえていきたいと思います。

 

主な登場人物

七草

高校1年の8月、階段島に連れて来られた悲観主義な少年。

真辺由宇

七草の小学生の頃からの友人。夢想家で理想主義。真っ直ぐ過ぎる性格ゆえ周囲に馴染めない。11月階段島に連れてこられた。

佐々岡

イヤホンで常にゲームミュージックを聴いている快活な少年。七草と同じ寮で暮らしている。

委員長(水谷)

七草たちのクラスの委員長で背の低い女の子。模範的な委員長として七草たち(転校生)の面倒を見ている。

背の高い目つきの悪い女の子。話すのが苦手でいつもうつむいている。毎週末、七草たちに長文の手紙を送ってくる。

トクメ先生

七草たちの担任の先生。学校恐怖症で、いつも仮面を被っている。島に新しく来た人に島についての説明をする。

相原大地

階段島に連れてこられた小学二年生の男の子。帰りたくはないと言う。

一〇〇万回生きた猫

話す相手によってキャラクターを演じ分ける虚言癖のある青年。七草の前では一〇〇万回生きた猫だが、彼がいないところでは皆「ナドさん」と呼んでいる。誌的で不思議な青年。

階段島

二〇〇〇人ほどが暮らしている魔女に管理された地図にも載っていない島。「捨てられた人」達が連れてこられて、脱出することは不可能。島に来る直前の記憶は消されている。ここでは生活に困ることは無いが、出るためには「失くしたもの」を見つけなければいけない。

魔女

魔法によって階段島に「捨てられた人」達を連れてくる。山の上の館に住んでいるとの噂だが誰も会ったことはない。

階段島シリーズ

  1. いなくなれ、群青(大学読書人大賞受賞)第一作目
  2. その白さえ嘘だとしても
  3. 汚れた赤を恋と呼ぶんだ
  4. 凶器は壊れた黒の叫び
  5. 夜空の呪いに色はない
  6. きみの世界に、青が鳴る(シリーズ完結作)

 

実写映画化

2019年9月映画化。横浜流星、飯豊まりえW主演!

 

 

『いなくなれ、群青」

ぜひ、読んでみて下さい!この不思議な青春ミステリの世界観にきっと没頭するはず!映画を観た方でも、より理解が深まると思いますのでおススメです!

 

 

 

 

楽天Booksで便利に読書がおすすめ!

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex(ネックス) 新潮文庫) [ 河野 裕 ]

 

【小説】「君の膵臓をたべたい」を徹底考察!※個人の見解です。住野よる著 大ベストセラー青春小説

【小説】「君の膵臓をたべたい」

双葉社

 



著者 住野よる

2017年4月30日 第1刷発行

2017年5月31日 第4刷発行

 

株式会社双葉社 発行

 

住野よる著「君の膵臓をたべたい」は言わずと知れた大ベストセラー小説。印象的なタイトルからは想像もつかない繊細な少年少女の感情を表した感動の名作です。この誰もが知る名作小説をあらすじ、感想と共に、物語を考察していきたいと思います。

 

 

 

あらすじ

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。それはクラスメイトである山内桜良が綴っている秘密の日記「共病文庫」。彼女が膵臓の病気で余命いくばくもないという秘密を知ってしまう。二人は【仲良し】として、二人だけの真実と日常を送っていくが…。最期に知る彼女の想い、そして最後このタイトルにきっと涙する。

 

感想

余命が宣告されている高校生の辛さや弱い面にはもちろん胸が詰まる想いですが、それ以上に桜良がそういった現実を逃避したり強がったり、わかってくれる【仲良し】くん(春樹)との日々が愛おしく、素晴らしい関係だと感じ胸がキュッとなるそんな思いで読み進めていました。そして、春樹が周りとの距離を取って過ごしている感覚が、桜良との日々で変化し、新しい世界で生きていく姿が見られて浮かばれるだろうと思わせてくれました。彼女の死後、親友さんを恭子さんと呼び、恭子が春樹を「春樹」と呼ぶ事にも特段意味づけをせずにいるのは、桜良との出会いで自分が変わっていったこと、人との関わりを持とうとしている彼の変化を表しています。

そして、「違う選択もできたはずなのに、僕は紛れもない僕自身の意思で選び、ここにいるんだ。」という言葉で気づきを与えてくれました。そう、誰もが流されている、仕方なくここにいる、と感じている事にも確かに「選択」があって、「意思」があったのだと。もちろん、それを選ばざるを得ない状況もたくさんあります。実際にはそんな綺麗ごとでは済まされない選択や結果が待っているものです。でも、何もかもが流されて仕方なくそこに立たされていると思うよりも、自分の意思でそこにいると思える状況の方が自分らしく強くいられるのではないか、と思うのです。そんな気づきを、春樹を通して実感させてもらえたような、強さや儚さに触れて感じられた作品でした。何度読んでも「君の膵臓を食べたい」という言葉が泣けてしまいます。

 

主な登場人物

僕(名前のない僕)

名前は志賀春樹。小説家みたいな名前と言われることが多い。物語では呼ばれる名前を【○○】で表されている。例えば【仲のいいクラスメイト】くん等、その時、呼ぶ人によって表現は変化している。それは、最期の桜良の日記に書かれた「春樹の思い」から文章で表現されている。

君は名前を呼ばれた時に、周りの人間が自分の事をどう思ってるか想像するのが趣味だって、想像して、でも、正しくても間違ってても、どうでもいいって。

(桜良の日記から「君」に向けた言葉)本文より引用

【○○】の部分は、春樹が呼ばれた名前に意味を持たせた自分の想像の部分となる。なので、桜良との距離が縮まり、春樹が桜良の事を意識したあたりには、桜良が呼ぶ自分の呼び名に込めた意味が図れず【?????】くん となっている。なお、桜良は名字で呼んでいる事が二人が初めて旅行に出かける新幹線の中で明らかになっている。(下の名前なんだっけ?という問いかけから)

 

山内桜良

膵臓の病気を患い余命いくばくもない高校生。闘病記録である日記「共病文庫」を書いているが、偶然春樹(【地味なクラスメイト】くん)に見られてしまう事で病気である事を共有し、唯一秘密を知る仲良しとして最期の日まで一緒に過ごす。明るく、前向きで友達も多く、周りには病気である事を隠している。春樹の前では死ぬことを恐れていないように振る舞い、突拍子もない行動で春樹を振り回す。

 

キョウコ(恭子)

桜良の中学時代からの親友で高校では桜良、春樹ともクラスメイト。桜良と春樹が仲良くなっているのが面白くない。春樹は「親友さん」などと呼んでいるが、桜良は仲良くして欲しいと思っている。

 

いつもいつも教室でガムをすすめてくる友人

春樹にとってそれまではなんてこともないただのクラスメイトだったが、桜良の死後、恭子と仲良くなることで友人関係というものが築けたのであろう友人。(唯一の)

 

共病文庫

桜良が病気の事や日々思ったこと、特別な事があった時などに記していた日記。記録は毎日行われるわけではない。共病文庫には文字以外の情報は残さない。(絵やグラフなど)そして、死ぬまで誰にも公開しないと決められている。彼女の死後、母親によって春樹に手渡される。

 

 

実写映画

こちらの作品も実写映画化され話題となりました。W主演として、桜良役を浜辺美波さん、僕(春樹)を北村匠さんというフレッシュで繊細な演技を見せてくれる注目のお二人。小説の世界観を壊すことなく見事に描かれていたと感じました。表情豊かな桜良を演じるのに浜辺美波さんはハマり役だと感じました。そして「僕」はとても難しい役だったのではないかと思いますが、本当に北村匠さんはピッタリだと思います。陰のある表情も感情の読み取れない曖昧な表情も、この若さでこの表現力という、ポテンシャルが感じられる作品だと思いました。(偉そうに書いてるように見えるかもしれませんが北村匠さんが大好きですw)

そして、劇場アニメとしての作品も!

 

劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」(通常版)【Blu-ray】 [ 高杉真宙 ]



著者について

住野よる

高校時代より執筆を開始し、2015年に本作「君の膵臓をたべたい」でデビュー。2016年には本作で「本屋大賞」第2位、Yahoo!検索大賞【小説部門賞】など、数多くの賞を受賞した。

君の膵臓をたべたい [ 住野よる ]

 

おわりに

誰もが知る名作「君の膵臓をたべたい」この作品について今更ながらしっかりと考察するのはいかがなものかと思いましたが、この作品の奥深さに触れてもっと知りたいと感じました。それぞれの登場人物の感情にもいろんな側面があって、裏があって、人としての気づきも与えてくれて、そういう作品に出会えたことを広めたいと思いました。これからこの物語を読んでいく人にとっても胸に刺さる作品である事を願っています。

 

 

 

【小説】「ぼっちママ探偵:最後の一行まで真実は謎」最後の一行で読み返したくなる!共感多数の1冊!

【小説】ぼっちママ探偵:最後の一行まで真実は謎

ぼっちママ探偵ー南口綾瀬WEBサイト



 

著者・イラストレーター 南口綾瀬

2021年7月27日 初版発行

発行者 ayacom

 

 

「ぼっちママ」とは、子供の親としての役割は果たしつつも、必要以上に親同士の関わりを持たず一人で行動するママの事。それは、人見知りだから、とか、面倒だから、トラウマがあるから、と様々な理由はあれど、それをどうにかしたいと思う人もいれば、その気ままさを自ら望んでいる場合など様々…でもやっぱり一人って寂しい、そんな思いが見え隠れするリアルな思いに共感の嵐!この物語は、「ぼっち」を謳歌しながらも自分のコミュ障ぶりに落ち込む主人公が娘の成美と共にクラスの問題を「探偵ごっこ」で解決していくお話。最後の一行の大どんでん返しをお楽しみに!

 

 

あらすじ

シングルマザーで在宅勤務、ついでにぼっちママの主人公は、おひとりさまならぬ「ぼっち」を謳歌していた。唯一の理解者は娘の成美。成美のクラスで起こる困りごとを人知れず解決していく主人公。最後の最後で気づく周囲の気持ち、そして最後の一行できっと読み返したくなる。

 

感想

「ぼっち」という世界感に共感しかありません。こういう事あるある…という場面がちりばめられていて子供を持つ親がぶち当たる壁や周りとの関わり方など、共感が多く、もどかしくもなり、ホッとしたり、いろんな人に読んでもらいたい作品です。かく言う私も「ぼっち」です。子供の参観日に誰かと待ち合わせて行ったことはないし、行事後にママ友とランチも行ったことがありません(w)ショッピングも一人で行きたいし、映画も牛丼も一人で行きます。社交性のあるキラキラママにどこか憧れてしまう…そんな気持ちもこの物語では嫌味なく描かれていて、それでいて主人公の一人を満喫する姿に心打たれます。子供を想う気持ちや教育、しつけ、問題に対して上手く解決する姿どれもが身近で現実とリンクするのでなんともスッキリする一冊だったと思います。そして最後の一行…ハッとして、主人公や周囲の行動を振り返りたくなります。とても心温まる作品で、何度も読み返したい一冊となりました。

著者について

南口綾瀬(みなみぐち あやせ)

デザイナー 東京都出身・千葉県在住

デザイナー・イラストレーターとして活躍しつつも、小説家として初めての作品「ぼっちママ探偵」を書きあげ個人で出版。

著書に、「針の上で歌う」「主人公はだれだ⁉」がある。

 

おわりに

登場人物それぞれに物語があり、どれも身近に感じるテーマで進められていくので、共感が止まりません。

著者も「ぼっちママ」なんだそうです。『一緒に快適なぼっちママライフをおくりましょう。中略 近くにいるであろうぼっちママをどうかあたたかく見守ってあげて下さい。』と書かれています。ぜひ、「ぼっちママライフ」楽しみましょう!!

 

 

 

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【小説】「株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者」今を生きる事が難しくなったら読みたい1冊

【小説】「株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者」

ディスカバー・トゥエンティワン

著者 喜多川泰

2022年4月25日 初版第一刷発行

2022年4月25日 電子書籍版発行

発行所 株式会社ディスカバー・トゥエンティワン

 

 

<人生は、いつでも、何度でも、どこからでも、やり直せる。>

ベストセラー作家 喜多川泰さんが描く背中を押してくれる物語。過去でも未来でもない「今、ここ」を生きる事が難しくなった人に贈りたい一冊。

過去からの手紙を届ける事で人々に希望の光を灯す。過去と未来と現在、愛に溢れた言葉は人生を変える重みがある。そんな事を教えてくれる作品です。

 

あらすじ

45歳で仕事も家族も失った新井英雄。株式会社タイムカプセル社という会社に再就職を果たすも、この会社での仕事は一風変わっていた。未来の自分への手紙を配達する会社。英雄が配属されたのは<特別配達困難者対策室>。様々な事情で配達不能になった人たちを訪ね直接手紙を渡す仕事だ。

上司である海人とともに全国各地に出向き直接手紙を渡すことで、受け取った人も渡しに来た自分にも新たな気づきがあった。

物語は、ある島の中学校で10年前に書かれた手紙を5人の人に届ける任務で出会う人々とのお話。

 

 

感想

最初は、どんな物語なのか全く予想できず、気づきを与えてくれる一冊になるとは思いもしませんでした。経営していた会社が倒産し、妻と娘が出ていってしまった45歳の新井英雄。再出発のため面接を受けたのは、「未来の自分に書いた手紙を届ける」という事業の会社でした。不思議な事業だなと思いましたが、実際にもそういったサービス(タイムカプセルの保管やお届けの会社)もあるんだと知りました。そんな会社でも配属されたのが過去に書いた手紙が受け取られなかった(届かなかった)人々に直接配達に行くという部署。届けるだけ、といった簡単な仕事ではありませんでしたが、英雄も驚いたのが、”制服”として渡された真っ白なスーツとハット。劇的なイメージを演出するための物と説明がありましたが、実際に全身白スーツの男が手紙を持って訪ねてきたら非日常感があり印象に残るはずです。そんな気配りや届ける順番など、考えつくされた仕事内容に驚かされたのはもちろん、非日常感が届けられた人々にも様々な影響を与えていく様に心動かされました。忘れていた夢や、過去のしがらみから逃れられず立ち止まっている人の心に光を灯していく言葉を掛ける海人の器に感心させられ、今のこの世の中に必要な核心のようなものを感じました。未来は変えられても、過去は変えられない、そう思っているのが普通でした。しかし、海人の言葉で、過去をも変えてけるような気にさせられます。登場人物たちは、手紙なんかで今の状況が変わるわけないと踏んでいました。きっと自分に同じように届いてもそう感じる事でしょう。それでも届けられた手紙を読んで、海人の言葉を聞いて、確かに何かが変わっていく、そんな様を見せられ、この先の自分を見つめ直す事ができた登場人物たちに自分も投影させ感じるものがあります。「今、ここ」を生きる事で、過去が変わり、未来が変わる。自分にもそんな生き方があるんだと感じられ、明るくなれる、そんな作品でした。ぜひ今立ち止まってしまっている方や、過去に縛られている方に読んでもらいたい1冊です。

 

 

著者について

1970年、愛媛県出身。2005年から作家としての活動を開始し、著書累計115万部のベストセラー作家。小学生から年配の方まで幅広い年齢層から愛され、国外でも翻訳出版されている。執筆活動だけでなく、全国各地での講演やセミナーを開催し、出会った人の人生を変える講師として人気を博している。

 

 

登場人物の特徴まとめ

登場する人物の特徴をまとめました。もし実写化されるなら…とイメージしながら読むのが好きで勝手に予想したりしています。こんな俳優さんが演じてくれたら、この場面を映像で見てみたい、など想像して楽しんでいます。みなさんなら、どんな演者さんをイメージしますか?

 

吉川海人

22歳。背が高く細身

若いけど器の大きく、笑顔の素敵な若者。

新井英雄

45歳。前職は経営者

経営していた会社が倒産し、妻と娘が出ていき、この会社に再就職した。

若林麗子

若い女性。会社の調査部に属する切れ者

配達者の情報を調べ、配達の順番や手配をする。

西山(社長)

この会社の創業者(創業15年)英雄よりもだいぶ若い(30代?)洞察力が高い。

嶋明日香
25歳。大阪のカフェで働き、友人宅に居候。夢があったが諦めている。

重田樹

38歳。中学校の非常勤講師をしていた元プロゴルファー。現在は妻と娘と離れて暮らす営業マン。

森川桜(本田桜)

25歳。北海道のラーメン店でパートをしている。夫と二人暮らし。過去に縛られている。

芹沢将志

25歳。ニューヨークで暮らす俳優。主演映画が酷評を受け役者の道に悩む。海人とも知り合いだった。

磯川美羽

重田樹の娘。中学3年生。今どきの中学生。10年後の自分に向けた手紙を海人に預ける。

新井美雪

英雄の元妻。娘と実家に戻り生活している。

新井亜利紗

英雄の娘。中学3年生。買ってもらったばかりのスマホに夢中。

吉川空

海人の姉。(ネタバレを避けるため詳細は省きます。)



おわりに

上下真っ白のスーツにアルミのアタッシュケースを持った男が突然「過去にあなたが書いた手紙をお届けに来ました」なんて現れたら、どう思うでしょうか、そしてその手紙にはなんて書かれているのでしょうか、それを読んでどう思うのでしょうか。物語の中に自分を描いてみてもきっと分からないかもしれません。十年、十五年、そんな月日の中で状況はどんどん変わっていくものです。特にこの物語のように15歳から25歳となればいろんな人生があるでしょう。何か気の利いた言葉でも残されていたら、人生は変わるかもしれない、でもそんな重要な事が書かれていなくても、過去の自分の真っすぐさに心打たれ未来を変える力を手に入れた人もいました。あなたなら、どんな言葉を残してみたいですか?言葉は時に力を与え、時に傷つける。そんな言葉の力を描いた深い物語、ぜひ読んでみて下さい。