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【小説】「凶器は壊れた黒の叫び」|階段島シリーズ第4弾!!ついに物語の佳境に突入 いなくなれ、群青続編

「凶器は壊れた黒の叫び」

新潮社

平成28年1月1日  発行

平成28年11月25日  3刷

著者  河野裕(こうの ゆたか)

発行  新潮社

 

 

「階段島シリーズ」第4弾となる本作は、ついに魔女と階段島についての新たな局面、そして七草の秘密が明らかになる大切な物語になっています。前作「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」から登場した謎の少女、安達が階段島に来た目的が明らかに。そして巻き起こる嵐。心を穿つ青春ミステリ第4弾をレビューしていきます。

 

あらすじ

階段島にやって来た謎の少女、安達は大地のために新聞部を設立するためクラスメイトに声をかけた。そして、その思惑は魔女を追い詰める為の罠だと気づいた七草は裏から手を回す事でなんとか守ろうと画策するが、事態は違った方向から動き出した。堀の不幸を証明し得るのは…七草だと…。魔女の理想と幸福、そして不幸とは?

 

感想

なんと言っても七草の隠された過去について明かされるところでは驚きと納得が入り交じり、こんな展開は予想もしていませんでした。七草と堀の関係についてへの納得と、魔女の言葉の意味、様々な伏線が回収された今作。そして安達の不穏さがこの物語に深みを持たせ最後までハラハラします。安達と七草は似ていると表現される事が多く、それも納得の会話が繰り広げられ、読み返しながら理解して行くのですが、この2人は本当に少し未来にいるのではないかと思うほど先回りした会話で、文章なのに表情がはっきり見える表現ささすがの一言。そして、七草と堀の関係…ネタバレをなるべく含みたくないので遠回しになるのですが、悲しくも美しく儚い、そんな印象で、幸せになってくれたら良かったのにと思ってしまう私はとても幼稚で愚かなんだろうと思います。そんな風に思わされるほど、複雑に入り組んだ理想と幸福、そして不幸の証明が、最後どんな結末を迎えるのか…まだまだこの階段島にはたくさんの秘密や思いが詰まっているのだと思います。そして、タイトルのセリフが毎度本編の終盤に登場します。いつもハッとさせられるのですが、今回の「壊れた黒」というのが本当に切なく、「凶器」の意味が深く…こんなにもタイトルに心奮わされた作品はありませんでした。私には難しい話で、何度も何度も頭の中で考え、読み返して納得していくという作業をし理解していくのですが、それが病みつきになっています。この作品は本当に魅力的でシリーズ全6冊は、何度でも読み返せる、そんな大作だと思います。

 

 

ここからの続編

夜空の呪いに色はない

きみの世界に、青が鳴る

 

 

これまでのレビュー

おわりに

階段島シリーズがいよいよ佳境に入って来たという物語でした。魔女の正体も魔女や魔法についても、どうして島が作られたのか、魔女の理想は…など、はっきりと描かれ、さらに新たな展開が繰り広げられ、目まぐるしく変わる状況に感情が忙しく動かされる1冊だったと思います。シリーズを通して、ここまで全体を明らかにするストーリーは初めてだったと思うので、いよいよ結末が見えてくるのだと感じさせられ、終わって欲しくないような、全てを見届けたいような…とこの作品の虜になっているわけであります。さて、この後に続く「夜空の呪いに色はない」はいよいよ、島に来た唯一の小学生、大地についてもっと明らかになって来ます。続きもお楽しみ下さい。

 

 

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