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【小説】「君の膵臓をたべたい」を徹底考察!※個人の見解です。住野よる著 大ベストセラー青春小説

【小説】「君の膵臓をたべたい」

双葉社

 



著者 住野よる

2017年4月30日 第1刷発行

2017年5月31日 第4刷発行

 

株式会社双葉社 発行

 

住野よる著「君の膵臓をたべたい」は言わずと知れた大ベストセラー小説。印象的なタイトルからは想像もつかない繊細な少年少女の感情を表した感動の名作です。この誰もが知る名作小説をあらすじ、感想と共に、物語を考察していきたいと思います。

 

 

 

あらすじ

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。それはクラスメイトである山内桜良が綴っている秘密の日記「共病文庫」。彼女が膵臓の病気で余命いくばくもないという秘密を知ってしまう。二人は【仲良し】として、二人だけの真実と日常を送っていくが…。最期に知る彼女の想い、そして最後このタイトルにきっと涙する。

 

感想

余命が宣告されている高校生の辛さや弱い面にはもちろん胸が詰まる想いですが、それ以上に桜良がそういった現実を逃避したり強がったり、わかってくれる【仲良し】くん(春樹)との日々が愛おしく、素晴らしい関係だと感じ胸がキュッとなるそんな思いで読み進めていました。そして、春樹が周りとの距離を取って過ごしている感覚が、桜良との日々で変化し、新しい世界で生きていく姿が見られて浮かばれるだろうと思わせてくれました。彼女の死後、親友さんを恭子さんと呼び、恭子が春樹を「春樹」と呼ぶ事にも特段意味づけをせずにいるのは、桜良との出会いで自分が変わっていったこと、人との関わりを持とうとしている彼の変化を表しています。

そして、「違う選択もできたはずなのに、僕は紛れもない僕自身の意思で選び、ここにいるんだ。」という言葉で気づきを与えてくれました。そう、誰もが流されている、仕方なくここにいる、と感じている事にも確かに「選択」があって、「意思」があったのだと。もちろん、それを選ばざるを得ない状況もたくさんあります。実際にはそんな綺麗ごとでは済まされない選択や結果が待っているものです。でも、何もかもが流されて仕方なくそこに立たされていると思うよりも、自分の意思でそこにいると思える状況の方が自分らしく強くいられるのではないか、と思うのです。そんな気づきを、春樹を通して実感させてもらえたような、強さや儚さに触れて感じられた作品でした。何度読んでも「君の膵臓を食べたい」という言葉が泣けてしまいます。

 

主な登場人物

僕(名前のない僕)

名前は志賀春樹。小説家みたいな名前と言われることが多い。物語では呼ばれる名前を【○○】で表されている。例えば【仲のいいクラスメイト】くん等、その時、呼ぶ人によって表現は変化している。それは、最期の桜良の日記に書かれた「春樹の思い」から文章で表現されている。

君は名前を呼ばれた時に、周りの人間が自分の事をどう思ってるか想像するのが趣味だって、想像して、でも、正しくても間違ってても、どうでもいいって。

(桜良の日記から「君」に向けた言葉)本文より引用

【○○】の部分は、春樹が呼ばれた名前に意味を持たせた自分の想像の部分となる。なので、桜良との距離が縮まり、春樹が桜良の事を意識したあたりには、桜良が呼ぶ自分の呼び名に込めた意味が図れず【?????】くん となっている。なお、桜良は名字で呼んでいる事が二人が初めて旅行に出かける新幹線の中で明らかになっている。(下の名前なんだっけ?という問いかけから)

 

山内桜良

膵臓の病気を患い余命いくばくもない高校生。闘病記録である日記「共病文庫」を書いているが、偶然春樹(【地味なクラスメイト】くん)に見られてしまう事で病気である事を共有し、唯一秘密を知る仲良しとして最期の日まで一緒に過ごす。明るく、前向きで友達も多く、周りには病気である事を隠している。春樹の前では死ぬことを恐れていないように振る舞い、突拍子もない行動で春樹を振り回す。

 

キョウコ(恭子)

桜良の中学時代からの親友で高校では桜良、春樹ともクラスメイト。桜良と春樹が仲良くなっているのが面白くない。春樹は「親友さん」などと呼んでいるが、桜良は仲良くして欲しいと思っている。

 

いつもいつも教室でガムをすすめてくる友人

春樹にとってそれまではなんてこともないただのクラスメイトだったが、桜良の死後、恭子と仲良くなることで友人関係というものが築けたのであろう友人。(唯一の)

 

共病文庫

桜良が病気の事や日々思ったこと、特別な事があった時などに記していた日記。記録は毎日行われるわけではない。共病文庫には文字以外の情報は残さない。(絵やグラフなど)そして、死ぬまで誰にも公開しないと決められている。彼女の死後、母親によって春樹に手渡される。

 

 

実写映画

こちらの作品も実写映画化され話題となりました。W主演として、桜良役を浜辺美波さん、僕(春樹)を北村匠さんというフレッシュで繊細な演技を見せてくれる注目のお二人。小説の世界観を壊すことなく見事に描かれていたと感じました。表情豊かな桜良を演じるのに浜辺美波さんはハマり役だと感じました。そして「僕」はとても難しい役だったのではないかと思いますが、本当に北村匠さんはピッタリだと思います。陰のある表情も感情の読み取れない曖昧な表情も、この若さでこの表現力という、ポテンシャルが感じられる作品だと思いました。(偉そうに書いてるように見えるかもしれませんが北村匠さんが大好きですw)

そして、劇場アニメとしての作品も!

 

劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」(通常版)【Blu-ray】 [ 高杉真宙 ]



著者について

住野よる

高校時代より執筆を開始し、2015年に本作「君の膵臓をたべたい」でデビュー。2016年には本作で「本屋大賞」第2位、Yahoo!検索大賞【小説部門賞】など、数多くの賞を受賞した。

君の膵臓をたべたい [ 住野よる ]

 

おわりに

誰もが知る名作「君の膵臓をたべたい」この作品について今更ながらしっかりと考察するのはいかがなものかと思いましたが、この作品の奥深さに触れてもっと知りたいと感じました。それぞれの登場人物の感情にもいろんな側面があって、裏があって、人としての気づきも与えてくれて、そういう作品に出会えたことを広めたいと思いました。これからこの物語を読んでいく人にとっても胸に刺さる作品である事を願っています。