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【小説】「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」レビュー

小説「ぼくは明日、昨日のきみとデートする

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画像:ぼくは明日、昨日のきみとデートする 公式Xより参照

 

著者は、七月隆文

宝島社文庫から2014年に第一刷が発行された書き下ろしです。

この小説のタイトルを見てまず思ったのは、

「昨日のきみとデートする???」

”昨日” ???

”昨日のきみ” ???

どういう事???

 

デートという言葉から、ラブストーリーなんだろうとは予想されますが、「昨日のきみ」という言葉で一気にSF感というか、異次元感が漂います。でも、この物語 ただの異世界物語ではありません。異世界物語というのも表現として正しいのかは分かりませんが、物語としての展開はいたってシンプルなピュアラブストーリーだと思います。しかし、中盤あたりからの展開に引き込まれ、登場人物の心情に心打たれます。”一目惚れをした” という言葉で始まるこの物語。この”一目惚れ”が何を意味しているのか…

 

あらすじ

 

京都の美大に通う南山高寿はいつもの通学電車で、”唐突に恋をしてしまった”朝のラッシュの電車の中で、人波の流れるまま目の前に来た女性。その女性を意識してしまう事に気づいた瞬間にまず思ったことは「ー勘弁してくれ」だった。だって、もう二度と会えないかもしれないのに…

普段の高寿ならここで無かったことにしていつの間にか忘れていく、そんな1コマだったかもしれないが、この時は違った。これが運命とでも言うように、彼女に声を掛ける…。

彼女との日々は、高寿にとってこの上なく幸せな物だった。

ーある時から、彼女との”ズレ”を感じていく。それは、感覚のズレや価値観のズレといったものではなく、会話や態度に違和感を持つような…そんな違和感を感じている中で、彼女から聞かされる衝撃の現実…高寿は何を思い、乗り越えていくのか…

そして、一目惚れの運命が、衝撃の秘密と感動の物語です。

 

 

 

感想

ここからは、個人の感想になります。

ネタバレを含んだ表現がありますので、まだ読んでいない方は是非飛ばして下さい。

 

この本のカバーに書かれたあらすじでは、「彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる」と締めくくられています。

その言葉の通り、私は読み返しました。

読み終わってから、すべての真実を知ってから、視点を変えて物語を辿っていくと、更に切なく、でも綺麗な想いにまた涙します。

一目惚れをした。

そう始まる主人公の心情を表現する物語で、恋愛経験値の低さゆえの展開がなんとも素敵です。

一目惚れをした彼女、福寿愛美は、絶世の美女というわけではないが清楚で品のあるかわいい子。見た目や仕草、センスすべてに「完璧」のラベルが貼ってあるようだと高寿は思っていました。

同じ年の初々しいカップルにほのぼのさせられ、また京都という舞台も美しく描かれているので、この物語はなんて平和なのだろうと、どうなっていくかなどとハラハラすることはありませんでした。

そんなほのぼのした幸せな日々が、一冊の手帳を高寿が読んでしまう事から状況が変わっていきます。

彼女の秘密が書かれた手帳。

それもこれも全部、決められている展開だった…?

 

そして全てを読み終わった後、また最初から読んでみるのです。

愛美はこう思っていたんだ。こんなに辛かったんだ…と。

そして繋がっていく奇跡の運命。

「昨日のきみ」とデートするんです。

「ぼく」は現在?「きみ」は昨日、なんてややこしい話なんだ!なんで二人は巡り合ってしまったんだ!運命とは残酷。と思ったりもしましたが、それでも繋がっていく奇跡に胸を打たれ、美しい作品だを感じます。

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画像:ぼくは明日、昨日のきみとデートする 公式Xより参照

 

 

 

 

 

 

おわりに

 

約280ページほどの小説で、私は何度も何度も読み返し、取り付けたブックカバーは今やボロボロの状態ですが、いつでも読めるよう手の届くところに置いておいてしまうほど大好きな作品です。

特に好きなのは、エピローグ…彼女の視点で描かれた奇跡の始まり。最後のおよそ2ページはまた最初から読み返さずにはいられない、そんな心を揺さぶられる最後でした。

 

 

この小説は、実写映画としても有名で南山高寿を福士蒼汰さん、福寿愛美を小松奈々さんが演じています。

映画のレビューもあわせてお読みいただけたらと思います。

 

 

 

 

 

 

*リンク*

【映画】「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」レビュー

 

https://hayms.hatenablog.com/entry/bokuasu_movie